22年落ちフェラーリの今だから明かす購入金額は適切だったのか?(連載:29歳、フェラーリを買う)
好きなものに囲まれたい
ただし820万円+諸費用で購入出来たわけではない。 上記の金額にくわえ、それまで乗っていた「ジュリア」のローンの残りもあったから、トータルで1055万円の支払いが必要になってしまったのだ。 現在、年率2.500%のニューバジェットローン(オリコ)で、月々6万円弱の返済が続いている。これに住宅ローンもあるし、新たに買ったもう1台のクルマの支払いもくわわった。 「クルマしか趣味がないから……」と、言いたいところだが、ファッションや家電、アート、ワイン、シャンペンなどもついつい買ってしまう。ボクは買い物が趣味なのだ。最近では、墨絵のような筆遣いが特徴であるShun Sudoさん初のシルクスクリーンを運良く購入出来た。 それほど広くもない1LDKの部屋はモノで埋めつくされている。好きなものに囲まれている生活は幸せだ。 金銭的な余裕はないけれど、人生なんて明日どうなるか、だれにもわからない。だからボクは、とことん好きなものに囲まれて生活したい。たいして乗らないクルマに月々6万円も支払うなんて信じられないかもしれないけれど、好きなのだからしょうがない。 クルマというのは整備しないと朽ちていく。資産として管理していくのは大変だ。アートやワインを維持するほうが圧倒的に楽である。 わが360モデナの中古相場は上昇傾向にあるけれども、維持費がそれなりに掛かるから儲けるのは難しい。投資物件だとは思っていない。ただ、購入価格&維持費と売却価格が、プラマイゼロになることを願っている。 というわけで、富裕層ではない若者が29歳でフェラーリを買ったのはいいけれど、維持するのはなかなか大変なのである。でも、惚れたクルマだ。まだまだ頑張りたい。 次回最終回では、フェラーリや人生について、ふたりのスペシャルゲストと語らいたいと思う。
文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)