なぜ阪神は中日・松坂大輔を打てず自力V消滅となったのか?
阪神は16日、ナゴヤドームで行われた中日戦に9回、痛恨のサヨナラ押し出し四球で敗れ5連敗を喫した。一方、巨人はヤクルトに快勝して連勝を5に伸ばし、ゲーム差が11.5と広がり自力Vが消滅した。阪神は今季初登板した松坂大輔の投球術に5回4安打2得点と翻弄され、9回に守護神のドリスでなく小野泰己を投入するという不可解な采配で力尽きた。
痛恨の押し出しでサヨナラ負け
ナゴヤドームにドラファンの歓声と虎ファンの悲鳴が交錯した。 2-2で迎えた9回一死満塁。カウント3-1から小野がアルモンテに投じた5球目のストレートが外角高めへ抜けていったのだ。小野は下を向きながらマウンドを降り、ピンチランナーの遠藤はゆっくりと歩きながらサヨナラホームを踏んだ。亀澤が氷水の入ったタンクを持ってアルモンテを追い回し、中日ベンチはお祭り騒ぎ。ハイタッチの輪の中には先発した松坂の笑顔もあった。阪神にとっては、今季4度目のサヨナラ負けで、自力Vが消滅したが、拙攻、ミス、ベンチの不可解采配とマイナス要素の連鎖では、厳しい現実を突きつけられても仕方がない。 先発の松坂に対して、後1本が出れば……のシーンが3度あった。 松坂の立ち上がりに近本の足と糸井の犠牲フライで先制点を奪い、なおチャンスが続いたが、大山がカットボールを打たされてセンターフライ。さらに故障治療で帰阪したマルテに代わって5番に抜擢された打者・陽川のところで糸原が二盗に失敗した。 3回には、糸井のタイムリーで同点に追いつき、二死満塁の勝ち越し機につながったが、5番の陽川は簡単に追い込まれ、最後はストライクゾーンの外から入ってくるコーナーいっぱいのシュートを見逃して三振に倒れた。その前の打席はインサイドのシュートでバットを折られており、それが頭にこびりついて、逆にスライダー系を待っていたのだろう。 5回にも一死から連続死球でチャンスを作った。糸井の一塁ゴロが併殺打になりかけたが、二塁からの送球を一塁をカバーした松坂がアルモンテから横取りしてしかもベースに足がついていないという“珍ミス”で一、三塁となった。もらった勝ち越し機だったが、大山は“逆球”になっていたインサイドの140キロのシュート系のボールに芯を外されセンターフライ。1打席目はカット、次はシュート。いいようにあしらわれた。 阪神打線の傾向として、半速球やコントロールの甘い相手は攻略できるが、ストレートに力のあるエース級や、松坂のようにボールをコーナーに動かしてくる投手に弱い。崩されてしまうと対応できなくなるのだ。3回、同点タイムリーをライト線に運んだ糸井はチェンジアップにも崩されることなくバットに乗せた。福留を欠く打線で、そういう対応力があるのは、ベテランの糸井くらい。松坂が、駆使するカット、シュートの小さな変化のボールにバットの芯をほんの数センチ、ことごとく狂わされていった。