揺れる毛布王国 現職南出賢一氏に新人立花孝志氏が挑む「マジやばい」泉大津市長選報告
毛布の生産量日本一を誇る人口7万人の大阪府泉大津市が15日投開票の市長選に揺れている。3選を目指す現職の南出賢一氏(44)に挑む形で、11月の兵庫県知事選に立候補したユーチューバーで新人の立花孝志氏(57)が出馬。現市政の継続を軸に南海泉大津駅への特急停車などを訴える南出氏に対し、知名度を生かした地元活性化を掲げ、副市長には南出氏が適任と述べる立花氏。告示後2日間の期日前投票者数は前回選の1・5倍に上り、選挙戦への市民の関心は高い。 【写真】候補者の街頭演説に耳を傾ける有権者 投開票を3日後に控えた12日夕方の泉大津駅前ロータリー。ユーチューブ上での歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで知られる立花氏の周りでは、40人ほどが演説に聞き入った。 「お金を稼いでこないと、市民サービスの向上にならない。私の知名度を生かし、ユーチューバーに市内の商店街に出店してもらう」 こうした「ユーチューバー商店街」で生み出したグッズ販売などの収益や、ふるさと納税の「目玉返礼品」を開発することによる寄付の増加で財政の安定化を図り、住民票の交付手数料やワクチン接種の無料化などを実現すると主張する。 11月の兵庫県知事選に出馬し、「他候補への投票」を呼びかけた対応などによって知名度を向上させたことが影響したためか、8日の告示日に立花氏が第一声をあげた泉大津駅前には千人近い聴衆が集まった。 ただ立花氏の手法をめぐっては人々の間で見解が分かれており、「立花が泉大津の市長選に出るとかマジやばい。おもろい」(18歳男子高校生)といった声が聞かれる一方、「立花退場」と記したプラカードを掲げた人がやじや暴言を飛ばしたり、立花氏の支援者ともみ合いになったりして混乱する様子もみられた。 ■「住みよい街にしてもらいたい」 南出氏は、告示日の泉大津駅前で数百人の聴衆を前に第一声。市長としての2期8年の実績をこまめにアピールして回る日々が続く。 「皆さんの安心安全を守っていきたい。一人一人の暮らしと向き合い、次の4年も泉大津で暮らすことの安心感を高めていきたい」と強調。新設した市立図書館や急性期メディカルセンターの整備といった実績を踏まえながら、泉大津駅への特急停車の実現を目指す考えを示す。 告示日に集まった聴衆の数は、立花氏には及ばなかったものの、日本維新の会前代表の馬場伸幸衆院議員や、自民党の杉田水脈前衆院議員、近接する泉佐野市の千代松大耕市長が応援演説に駆けつけるなど、南出氏を支援する人の顔ぶれは党や自治体の枠組みを超える。