J2激動の移籍市場(2)新潟、渡邉新太に続き本間至恩も…攻撃の2枚看板喪失の危機!
■攻撃の2枚看板を揃って失う可能性も…
2020年のアルビレックス新潟は14勝15分13敗で11位に終わったが、シーズン中は4位まで浮上したことがあり、38節までは6位に食い込んでいた。就任1年目のアルベルト監督のもとで、自分たちで主導権を握る攻撃的なサッカーを作り上げていった。19年の10位から最終的な順位を下げてしまい、外国籍選手による不祥事もあったが、スペイン人指揮官のサッカーはポジティブな印象を残したと言える。 【動画】2020モバアルZ、MVP&ベストヤングプレーヤー本間至恩の、緊張? 笑顔メッセージ 最終節を待たずにアルベルト監督の続投を発表したことから判断すれば、継続性を担保したうえでJ1昇格を目ざすという方向性がうかがえる。 ところが、移籍市場では苦戦を強いられている。 昨シーズンのチーム得点王となった鄭大世が、期限付き移籍満了となった。昨年7月にセレッソ大阪から期限付き移籍し、35試合5得点の成績を残した中島元彦も所属元へ戻っている。36歳の鄭大世は健在ぶりを見せつけていたし、中島はボランチと2列目でアルベルト監督に重用されていた。どちらも残留させたかったのではないか。 攻撃陣では2枚看板を同時に失う恐れがある。昨シーズンはケガで欠場するまで20試合出場7得点を記録していた渡邉新太が、大分へ完全移籍することになった。さらに背番号10を着ける本間至恩に、J1に昇格したに昇格した徳島ヴォルティス入りの噂が流れている。昨シーズン7得点7アシストの本間まで抜けたら、中長期的なチーム編成としても大きなダメージを被ることになってしまう。
■2列目の補強は外国籍選手か?
一方の補強では、昨シーズンのJ3で得点王となったFW谷口海斗(ロアッソ熊本から)、19年にFC琉球で15点をあげたFW鈴木孝司(C大阪から)を完全移籍で迎え入れた。20年にU―18日本代表に招集された小見洋太(昌平高校)も、新加入選手に名を連ねる。 中盤には、昨シーズンのレノファ山口で主力を担った東京五輪世代のMF高宇洋、北九州で万能性を発揮したMF藤原泰哉が加わっている。どちらもボランチが主戦場だ。また、昨シーズン37試合出場の島田譲が、V・ファーレン長崎からの期限付き移籍ではなく完全移籍へ切り替わったのも、指揮官にとっては明るいニュースと言えるだろう。ボランチにはウルグアイ人MFゴンサロ・ゴンザレスらもおり、質、量ともに十分過ぎるほどだ。 最終ラインでは、サンフレッチェ広島でJ1リーグ連覇を経験したCB千葉和彦が、11年以来の復帰を果たしている。GK小島亨介(大分トリニータ)とDF田上大地(柏レイソル)の期限付き移籍が延長された。守備のマルチタレント新井直人がC大阪へ移籍したものの、DFラインの構成に悩まされることはなさそうだ。 そう考えると、物足りないのは2列目だ。J1昇格を狙うのであれば、得点とアシストが見込める選手が欲しい。昨年10月にファビオとペドロ・マンジーとの契約を解除し、CBマウロ、MFシルビーニョとの契約が満了となったことで、登録枠に余裕のある外国籍選手を持ってくるのだろうか。 いずれにせよ、攻撃陣のさらなる補強は不可欠である。 【補強充実度】 B 千葉、高宇洋、藤原、鈴木ら、実績のある選手を獲得したのは評価できるが……。 【J1昇格本気度】 C 「計算の立つ選手」という表現が当てはまる選手を獲得している一方で、J1昇格の2位以内を強く確信させるほどのタレントは集まっていない。 【J1昇格可能性】 C 守備陣とボランチまでは、既存の戦力を含めて不足なし。対照的に、前線から攻撃陣は移籍した選手の穴を埋め切れていない。
戸塚啓