PT、専門家提言出そろう 小池知事の市場移転判断は? 15日からあり方本部
●あり方戦略本部
市場のあり方戦略本部もまた、小池知事の意向を受けて3月に誕生した組織。市場問題PTや専門家会議などで浮上した豊洲と築地市場の課題整理や将来的な市場のあり方の検討を行い、小池知事の総合的な移転判断を助ける役割を担う。庁内組織であり、本部長には元中央卸売市場長の中西充副知事が起用されたほか、現在の中央卸売市場や総務局、財務局、政策企画局などの各局長が委員に就任。これまでに2回の会合や、関係事業者へのヒアリングなどを行なってきた。 4月27日に開かれた2回目の会合では、豊洲移転案とPTが検討する築地改修案の両案について課題を整理。豊洲移転案では、土壌汚染対策や施設の使い勝手などの課題を指摘したが、専門家会議で土壌汚染対策の検討が進んでおり、施設面でも運用の工夫などで対応できると説明。一方、築地改修案に対しては、新たに必要とされる環境アセスメントや土壌汚染対策など9つの課題を指摘した。 事業持続性に関して、豊洲案では市場開場後に年間140~150億円の赤字が生じるが、20年以上は安定して事業を継続できると説明。これに対し、小池知事は「20年以上という数字でもかなり厳しいと思う。あまり楽観的な数字ばかり並べない方が良い」と指摘し、都が運営する他の市場を含めた全体の継続性を検討するよう求める場面もあった。
●専門家会議
専門家会議はそもそも、2007年5月から翌2008年7月まで、豊洲市場の土壌汚染対策を議論し、報告書を取りまとめて協議を終了していた組織だが、昨年9月に豊洲市場の主要建物下で土壌汚染対策の盛り土が行われてない問題が発覚したため、再招集された。平田健正座長(放送大学和歌山学習センター所長)ら外部の有識者で構成する。 今年4月をめどに、盛り土がない前提での土壌汚染対策をまとめる予定だったが、第9回目の地下水モニタリング調査で環境基準値の最大79倍という高濃度のベンゼンなどの汚染物質が検出されたため、追加調査を実施。これに伴い協議が遅れていた。 また、豊洲市場の無害化をめぐって議論が紛糾し、5月18日の第6回会合は審議途中で休会する事態になったが、今月11日に再開された会合で、地下からの汚染物質の侵入を防ぐために地下空間の地面をシートかコンクリートで遮蔽し、あわせて換気を行う追加の土壌汚染対策を了承した。平田座長は「市場の陸上部分は安全」との見解を示したが、「市場全域で土壌も地下水も環境基準以下にするのは難しい」と無害化の難しさにも言及した。
15日から開かれる市場のあり方戦略本部では、これらの市場問題PTや専門家会議での協議結果を取り入れた上で議論する。15日には「市場のあり方」や市場会計の持続性について、16日には豊洲市場の課題への対応について議論される。 (取材・文:具志堅浩二)