PT、専門家提言出そろう 小池知事の市場移転判断は? 15日からあり方本部
築地市場の豊洲市場への移転問題をめぐり、東京都の小池百合子知事の判断に注目が集まっている。都は14日、「市場のあり方戦略本部」を15日、16日の2日間開くことを発表した。11日には「専門家会議」が、豊洲市場で土壌汚染対策の盛り土がなされていなかったことを踏まえた安全対策を提言。13日には「市場問題プロジェクトチーム」(PT)が豊洲移転案と築地改修案などを盛り込んだ報告書を都に提出した。市場移転をどうするか、小池知事が「総合的に判断する」ための材料はほぼ出そろったことになる。報道では、都が豊洲を軸にして、築地の跡地は売却せずに民間活用する案を検討していることや、週内にも判断を下す可能性があるとされる中、市場移転問題について検討するこれら3つの都の会議体がどんな議論をしてきたか、振り返った。 【動画】市場PTが報告書を提出 小池知事「築地ブランド大切にしたい」
●市場問題PT
「築地市場の豊洲新市場への移転は延期する」。市場問題PTは2016年8月31日、小池知事が豊洲移転の延期と合わせて設置を宣言した。豊洲市場の経済性や事業継続性、施設の利便性、土壌汚染対策などを検討し、知事に報告するのが役割。座長には、小池知事の環境相時代に、環境省審議官を務めた小島敏郎氏(青山学院大学元教授)が就任したほか、建築の専門家らが委員となり、6月5日までに計10回の会合を開いた。 PTが取りまとめた報告書には、豊洲市場への移転案に加えて、築地市場を改修する案も盛り込んだ。豊洲移転案では、開場後に生じると想定される毎年100~150億円の赤字問題や、無害化が実現しない土壌汚染問題を課題に挙げた。一方、築地改修案については「築地ブランド」を高く評価。営業しながらの改修案、または一旦どこかへ移転して改修を進める案など複数案を提案した。 そのほか、豊洲移転を選んだ後の築地市場の跡地、あるいは築地を改修した場合の豊洲市場の跡地について、売却はせずに都民のために活用する方策の検討が望ましい、と両市場を活用する道もあり得るとした。市場全体を持続していくため、市場当局が有効な経営戦略を立案できるような組織に生まれ変わらなければ、築地、豊洲のどちらを選んでも「卸売市場の再生はない」とも提言する。 報告書の提出後に行われた13日の会見でも、小島座長は豊洲市場について「今後の赤字をどうするかがポイント」と指摘した。