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【全文】新型コロナウイルス感染の影響で、「不妊治療」を断念せざるを得なくなったアメリカ人女性の手記

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ハーパーズ バザー・オンライン

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、アメリカ生殖医療学会(ASRM)は3月、不妊治療の大半を中止することを強く勧めるとのガイドラインを発表。1年半にわたって厳しい不妊治療に臨んできたあるアメリカ人女性が、「これが最後」と決めていた治療を断念せざるを得なくなった今の心情を明かしてくれた。 【写真】セレブたちが自宅で行っているワークアウトを拝見

奪われた「最後のチャンス」

電話が鳴ったのは、午前11時45分。それは、車でNYのアッパー・イースト・サイドにある病院に行くため、ブルックリンの自宅アパートを出る1時間15分前でした。私の不妊治療の担当医で、生殖内分泌学が専門の医師は、優しくも遠慮のない口調で、こう言いました――「残念なお知らせがあります」 私は電話を保留にして、キッチンにいた夫のところまで走って行きました。「何てこと……これで終わり、本当に終わり」そう思いながら。 私たち夫婦が子供を持とうと思ったのは、2年半ほど前。1年半前からは厳しい不妊治療に臨んできました。体外受精(IVF)の4周期目の治療を受けていた私は、電話があった前の週に採卵をしており、この日は新鮮胚を移植するため、病院に行くことになっていました。ですが、それが中止になりました。 採卵を行ったのは3月16日。アメリカ生殖医療学会(ASRM)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を理由に、不妊治療の大半を中止することを強く勧めるとのガイドラインを発表したのは、その翌日だったからです。 ただ、願いが叶わないものであることを示す証拠がどんどん増えていくなかでも、私たち夫婦はまだ、希望を持ち続けていました(まったく先が読めないことにあまりにも長い間こつこつ努力していると、妄想を膨らませることは自分をごまかす便利な方法になるようです)。

失敗に終わった過去3周期のIVF

私たちは生検を受け、遺伝子検査を受け、受精卵(胚)を凍結保存しました。それらの過程において、私の卵子はどういうわけか、37歳という年齢の割には質がよくないことがわかりました。不妊治療の専門家がそのことに気付いたのは、残念ながら高額の費用を支払って治療を行い、それらが失敗に終わった後でした。 私たちは担当医から、改めて生検から胚を凍結するまでの段階をこなしても、繊細な胚にさらにダメージを与える可能性があるとの説明を受けました。そして、この4周期目を最後として、新鮮胚の移植を行うことを勧められました。 悲しいことに、これまでの治療にすでに長い時間をかけ、さらにこの最後のチャンスに1万2000ドル(約130万円)近くを払っていたにもかかわらず、私たちはその“最後の賭け”のチャンスを失ってしまったのです(音楽業界でフリーランスとして働く夫はライブイベントで生計を立ててきましたが、新型コロナウイルスの流行で少なくとも向こう6カ月は収入がないことが確定したばかり。それがわかったわずか数日後に、この事実を受け入れざるを得ない状況を想像してみてください)。 ASRMは、不妊治療に関する提言を2週間ごとに見直すそうです。ですが、いつになれば治療が再開されるのか、見通しはつきません。本当に数多くの人たちが、この現実に直面することを強いられています(調査機関ピュー・リサーチ・センターによれば、アメリカの全成人のうち、自身もしくは知人が不妊治療を受けている割合は33%にのぼります)。そして同時に、この先行きが不安な時に、とてつもなく高額な治療費を支払わなければならないという経済的な問題にも直面しています。 私が加入している医療保険は、最初の3周期にかかった費用のほとんどをカバーしてくれました。それは、本当に幸いなことでした。ですが、生涯限度額がほかよりも高いその保険プランに加入していてもなお、約4万5000ドル(約480万円)は自己負担でした。 私たちは今、手元に残ったお金(減ってしまった貯蓄、家族からの借金、与信枠)でこれからどうするのかという難しい問題に直面しています。私たちはそれを、ドナー卵子に使うべきでしょうか? それとも養子縁組?

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