Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

愛する楽器 第21回 SILENT SIREN・すぅが愛するギター

配信

音楽ナタリー

アーティストがお気に入りの楽器を紹介する本企画。第21回では今年の夏に結成10周年を迎えるSILENT SIRENのすぅ(Vo, G)が登場。バンドに目覚めたきっかけや、結成当初に購入したというFENDERの赤いTelecasterと、メジャーデビュー後に制作されたシグネチャーモデルにまつわる思いを語ってもらった。 【動画】愛する楽器 第21回「SILENT SIREN・すぅが愛するテレキャスター」(メディアギャラリー他22件) 取材・文 / 松永良平 スチール撮影 / Viola Kam(V'z Twinkle Photography) 動画撮影 / 田中和宏 ■ ブルーハーツの影響でギターを手に もともと家にピアノがあったので、子供の頃はピアノを弾きたくて習ってました。だけどお兄ちゃんが好きだったTHE BLUE HEARTSの映像を観て「バンドってめちゃくちゃカッコいいな」って思ったんです。ステージに立つと人が豹変するみたいなバンドのマジックのような部分もカッコいいと思いました。その頃、お兄ちゃんがバンドでアコギを弾いていたんですけど、私はブルーハーツの曲が弾きたくて、中学2年生のときにお年玉で初めてのエレキギターを買いました。 そのとき買ったギターはアンプ付きで1万円くらいのセットで、入門用のおもちゃみたいな感じです。当時はコードをちょっと弾けるくらいで、好きなバンドのバンドスコアをいろいろ買って、それだけで満足してました。ブルーハーツの曲では、「リンダリンダ」「終わらない歌」「僕の右手」とか、けっこう王道なのを弾いてました。でもその頃はギターソロとか、ギターが何本鳴ってるかとか、音楽の仕組みが何もわかってなかったので、ただ好きな曲のタブ譜を見て弾いて満足、弾けないところは飛ばす、みたいな感じでした(笑)。 初めてバンドをやったのは高校1年です。文化祭でバンドを組みました。そのとき先生が機材を用意してくれて、メンバーも集まったんですけど、ボーカルだけいなかったんですよ。一番演奏に余裕のある人ということで、私が歌うことになりました。ほかのメンバーはみんな楽器を始めた人ばかりで、歌にまで手が回らなかったんです。まさかボーカルとギターをやるとは思ってなかった。人前に立つのはめちゃくちゃ緊張したし、前も向けなかった。ギターもそんなに弾けないですから、手元ばっかり見て。「もう絶対にやりたくない」なんて思ってました(笑)。でもステージに立ってるときより、そこに立つまでの過程がすごい楽しかったことを覚えてますね。放課後に練習したり、メンバーの家に集まってアンプにつながないで音を出したり。 ■ ギターは汚くて傷だらけでナンボ 今日持ってきた赤いTelecasterは、SILENT SIRENを結成した頃によく使ってました。今でも「最初の赤いギターがよく似合ってたよ」って言われますね。文化祭じゃなく、初めてちゃんと「バンドをやるぞ!」って気持ちになったとき、渋谷のイケベ楽器さんに毎日通って、いろんなギターを試し弾きしてたんです。迷ったんですけど、チャットモンチーのえっちゃん(橋本絵莉子)が弾いてたTelecasterがいいと思って、それを買いました。チャットモンチーがデビューした頃、私は中1か中2くらいだったんですけど、ガールズバンドのスリーピースってすごくいいなと思って、めっちゃ聴いてて、印象に残ってたんです。 ステッカー、たくさん貼ってますよ。そういうのが好きだったんです。ブルーハーツの影響で、ギターって汚くて傷だらけでナンボだと思ってたんですよ。バンドを始めてからは、この赤いテレキャスを好きに使おうと思って、シールをめちゃ貼ってました。「2010」のステッカーはバンドを結成した年に貼ったものです。サイコロが2個のステッカーはSILENT SIRENの「サイサイ」って意味でした(笑)。こんな感じでシールたくさん貼っちゃってるんですけど、私の憧れがすごく詰まってるギターだったので、当時の自分にはぴったりだなって思います。 このギターを背負ってる自分が好きでした。自分がカッコいいと思うものを身に付けるのってファッションとも一緒だし、好きなものだったらずっと続けたくなるし、触りたくなるし、自分にとっての武器みたいな感じでしたね。ギターって種類もたくさんあるし、何を弾いても音が出るところが好きだし、ギターを持ってる人のシルエットがすごく好きなんです。ギターを構えてカッコよく立ってる人が好きですね。最初は横山健さん(Hi-STANDARD)に憧れて低く構えてみたり……でも全然うまく弾けなかったです(笑)。 ■ デビュー後に訪れた試練 SILENT SIRENを結成した当時は、バンドの作曲を担当してるクボナオキくんがステージでもサポートでギターを弾いてくれてたんです。クボくんのギターはボリュームも大きくてうまいので、当時の私はちょっとしたバッキングくらいしか弾いてなかったし、「いかにこのギターをカッコよく持てるか」だけを考えてステージに立ってました。エフェクターの種類も知らなかったんですよ。チューナーと歪み系を1個だけ置いて「歪めば、うまい」と思ってた(笑)。10年前は本当にそんな感じでしたね。 2012年にメジャーデビューするとき、クボくんがバンドから抜けて、楽曲制作とマニピュレーターをやることになったんです。そこからSILENT SIRENはガールズバンドになりました。しばらくはクボくんの代わりにサポートを入れていたんですけど、2015年12月年末の「覚悟と挑戦」ツアーから、サポートを入れずに4人でやることにして。SILENT SIRENは4人のバンドだし、このバンドのギターは私だから、レコーディングだけじゃなくライブでも全部をがんばって弾こう、と。そこからギターに向き合うことになりました。そう決めてからは、好きで始めたギターなのに、つらくて毎日泣いてました(笑)。「自分たちの曲ってこんなに難しかったんだ。歌いながら弾けるわけないじゃん」みたいなことをグチグチ言いながら。でもそこからは曲作りに対する考え方も大きく変わりました。リフを作ったり、ソロを弾いたりする勉強をして、歌いながら弾けるフレーズを考えたり。 ■ ジャズマスとテレキャスの要素取り入れたシグネチャーモデル そんな私が、去年末にFENDERからシグネチャーモデルを発売しました。やっぱり思い入れのあるTelecasterを作りたいなと思ったんですけど、私がもう1本メインで使っているピンクのJazzmasterのよさも取り入れました。Jazzmasterは私の体に一番合ってるんです。なので、ボディのシェイプやネックの細さはJazzmasterと同じ感じにして、Telecasterとジャズマスターをミックスしたんです。ボディにもコンター加工をかけて削ってあるのでちょっと不思議な形なんですけど、女の子はすごく使いやすいと思います。私が最初にギターを持ちたいと思った理由は見た目が好きというところから入ったので、このギターでは「全部真っ白!」にこだわりました。そのこだわりのおかげでフレットがちょっと見えづらいので、私はネックの横にガイドのシールを貼ってるんですけどね(笑)。 ボディにfホールのマークを入れたのは、私が普段はセミホロウボディのTelecaster Thinlineを使っているからです。そのギターにもけっこう思い入れがあってずっと使ってるから、その別バージョンという意味でfホールのマークだけを残しました。このギターは握りやすさとか軽さを初心者向けに作ったので、ボディに穴を開けちゃうと音の設定が難しくなるんです。よりシンプルに使ってもらいたいからfホールは空けないけど、あえて私が持ってるモデルと似たデザインにしたんです。fホールのマークに使ったスミレ色もめっちゃこだわって選びました。去年のクリスマス時期にこのモデルを出したので、自分に対するクリスマスプレゼントみたいな感じで買ってくれた人もけっこういましたね。 ■ “今”がずっと続いて迎えた結成10周年 この赤いTelecaster、今は弾いてないんですけど、ずっと家に置いてあります。思い出がぎっしり。ネックの横にガイドで貼ってたシールもでかいですね!(笑) この頃は何も知らなかったし、まさかバンドが10年続くとすら思ってなかった。私、物事があんまり長続きしたことがないんですよ。10年ずっと自分で続けられたのがバンドだけだったんで、自分でもびっくりしてます。続くとかやめるとか考えないで、ただ、今やりたいから来週スタジオ入ろうとか、みんなで集まろうとか、“今”がたまたまずっと続いてる感じなんです。ぜひ、私のシグネチャーモデルを買った人も、好きなステッカーとか貼って自分だけの1本にしてください。 ■ SILENT SIREN(サイレントサイレン)プロフィール 2010年にファッション誌で活躍する読者モデルで結成されたガールズバンド。メンバーはすぅ(吉田菫 / Vo, G)、ひなんちゅ(梅村妃奈子 / Dr)、あいにゃん(山内あいな / B)、ゆかるん(黒坂優香子 / Key)の4人で、2012年2月8日にデビューアルバム「サイサイ」をリリースした。同年11月にシングル「Sweet Pop!」でドリーミュージックからメジャーデビュー。2015年1月にガールズバンドとしてはデビュー後、最短で東京・日本武道館でのワンマンライブを開催した。2016年にアジア、アメリカを回るワールドツアーを行い、同年末にEMI Recordsに移籍。バンドロゴと表記を大文字に変更し、2017年には日本武道館2DAYS公演を成功させた。2018年にはラーメンチェーン「天下一品」のイメージキャラクターに就任。2020年夏、結成10周年を迎える。

【関連記事】