今度は梅干しの缶詰が登場!
「出ました出ました! また珍缶が出ましたぞー」と、雄叫びを上げながらやって来たのは缶詰博士の黒川勇人氏。あれ何だろう、この展開は先週もあったような気がしますが。 【写真】「梅干しの缶詰」の梅干しを使って、日の丸弁当を作る 「デジャブじゃありません、また珍缶が出たんです。何と梅干しの缶詰」 それは確かに珍缶かも! 前回の富士宮やきそば缶といい、今年は珍しい缶詰が続々と登場していますね。 そのまんま入ってます 思わず2度見してしまった、この缶詰。こまち食品工業が8月1日に発売した「梅干缶」であります。 これまでも梅干しが入った缶詰は発売されていた。しかし梅干しはビニール(プラスチック)袋に入った状態で缶に収まっていたのだ。つまり缶詰ではなく"缶入り"食品だったわけ。 だが、この梅干缶は違う。梅干しがそのままのお姿で入り、加熱殺菌されているという。 常識をブレイクスルー (塩分の多い梅干しは金属製の缶と相性が悪い。だからそのまま入れるなんてムリな話なんだよ) と、1人で呟きながらフタを開けると……なんということだ。本当にそのまま入ってるじゃないか。大丈夫か、これ。缶の内面がさびたりしないのか? こまち食品工業に訊いてみると、過去に市販の梅干しを缶に入れて密封・保管し、3年半経っても梅干し・缶の両方に問題がなかったことを実証したという。 ちなみに、この梅干しは塩分が6%ある。これまでの缶界の常識では、中の食品が塩分4%を超えたら缶内面がさびると言われていたのだ。 それをブレイクスルーしてしまったわけだ。すげえなこまちさん。 A級Lサイズを使用 ひと粒を持ち上げると、この通り。加熱殺菌されているはずなのに、色はくすんでおらず、形もきれい。 箸で持ち上げるときは、繊細な皮を破りそうだった。それもそのはず、この梅干しは紀州南高梅のA級グレードを使っているのだ。皮が薄くて果肉が柔らかいのはその証しであります。サイズはLだそうだ。 あとは漬け物だけでコト足りる かくのごとし。懐かしの日の丸弁当を作ってみた。さすがLサイズの梅干し、半合のごはんに対しても余裕のサイズ感である。あとはきゅうりとなすのヌカ漬けさえあれば、おかずはコト足りるでありましょう。 缶心(肝心)の梅干しのお味は、当世風のちょい甘め。予想通り皮が柔らかく破れ、中からジューシーな果肉が漏れ出てくる。ほんのり甘くて、酸っぱくて、食べやすい味だ。 軽くパニックに襲われる 白ごはんをかっこむ直前で、ハタと気がついた。この梅干缶は梅干しが7粒入っていたので、6粒残ることになる。この6粒をどーすればいいのだ? フタを開けてしまったのだから、早めに消費しないといけないだろう。でも梅干しばかりむしゃむしゃ食べるわけにはいかぬ。 (日の丸弁当をあと6つ作ればいいのか? そうなのか?) (でもそれ、誰が食べるんだよ?) 軽くパニックに襲われる。 いや、落ち着け俺。まだ慌てる時間じゃないはずだ。清潔な容器に移し替えて、冷蔵庫で保管すればいいのだ。そうだそうだ、梅干しだからといって特別扱いすることはない。他の缶詰を開けた時と同じでいいのだ。 ということで、雑菌が付かないように注意しつつタッパーに移して、冷蔵庫に入れたのだった。 缶詰情報 こまち食品工業/梅干缶 約80g(6~7粒入り) 734円 同社オンラインショップなどで入手可 缶詰博士 かんづめはかせ 昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。 公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。
缶詰博士