【宇垣美里】人と同じではないことに敬意を払う環境だったからこそ、自分に正直でいられる
今回の宇垣美里さんのエッセイは、自分に正直に生きる宇垣さんのルーツともいえる高校時代の記憶を綴っていただきました。フリーアナウンサーとなり、次のステップへと歩みはじめた宇垣美里から見えている世界は、もしかしたら私たちとは少しだけ違うのかも。 >>オリジナル記事を読む! 【宇垣美里】人と同じではないことに敬意を払う環境だったからこそ、自分に正直でいられる
第十章 『仰げば尊し』 (二)
自分で選んだ進路だった。ここに残ることはもうない。 県外へと出ることは決まっていたし、たとえどの進路を辿ることになろうと、友人の誰とも道は被らない。 高校の卒業式の日は遅刻した。 式自体には間に合ったのだが、きたる後期試験に向け心はいっぱいいっぱいで、式になんの思い入れも持つことができなかった。 けれど、最後にクラスで卒業アルバムに寄せ書きをしている時に、ああ、これでもうみんなと授業を受けることはないんだ、なんてあまりに当たり前のことに気づいて胸がぎゅっと苦しくなった。 なんて恵まれた環境だったのだろう。嫌いな人もいたし、理解できない人だって、狡い奴だっていた。 けれど、ゴスロリやオタク、ガリ勉に部活命。人と同じではないこと、何かに一生懸命であることに、きちんと敬意を払う環境で高校生活を送れたことは、私にとって一番幸運なことだった。
そんな場所が存在することを知っているから、10年以上たった今でも私は変わらないでいられる。 偽ることも迎合することもなく、どんなに苦しくとも、ただ自分に正直に生きることができる。知らなければ、もっと器用になれたのかなとも思う。上手に空気を読んでおとなしく暮らしていけたのかもしれない。 けれど、そんな人生はまっぴらごめんだ。 あの頃の友人とはいまだに定期的に会っていて、もう人生の半分を共にしていることになる。 たまに思い出す、セーラー服の裾を翻し、最強だったあの頃の私たち。 いまだに迷うと心の中に住まう無敵の彼女にこっそり相談しているのは、内緒だ。
宇垣美里にQ&A
Q. SNSに振り回されて辛いです。SNSをしない宇垣さんからみたSNSってどんなイメージですか?(micono 女性) A. かわいい犬とか猫とかの写真や動画がわんさか出てくるツールだと思ってます。人が楽しそうな投稿をしてても、へーたのしそーしか思わない……。別に世界の幸福の総数が決まっていて私の幸せが減るってわけでもないので。“誰もがそれぞれにつらい問題をかかえているわ。胸をしめつけられるような問題を抱えながら、それを周囲に知られないようにしている人たちだっているのよ。”とはマリリンモンローの言葉だけれど、誰もが人に見せている面が全てではないのだから。この人はここを見せたいんだなあって思うだけ。