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ジャルジャルのネタ作りはもはや「癖」毎日の積み重ねで掴んだKOC優勝【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】

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日刊ゲンダイDIGITAL

【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#18  挑戦すること13回。4度目の決勝で見事に「キングオブコント2020」の栄冠を勝ち取りました。当日午後11時すぎ、記者会見などバタバタしている中、わざわざ電話で「おかげさまで優勝できました! やっと取れました! うれしいです! 最高です! ありがとうございます!」と伝えてくれました。  10日ほど前、たまたま楽屋で会った2人に「ネタを見てください」とスマホの映像を見せられました。2本目に演じたタンバリンを持った泥棒の元ネタです。音が出る小道具がタンバリンだけだったので、このままでは尻すぼみになってしまう“物足りなさ”を感じました。他の道具も取り入れて福徳君をもっと“足手まといな相棒”にした方がいい、と伝え、彼らは鈴とホイッスルを加えて“間抜けさ”と“賑やかさ”が増していました。  入学時の印象は“上品な子たち”。後藤君のお父さんは現・大阪府吹田市長、福徳君も芦屋の超ボンボンというNSCではあまりお目にかかることのないタイプで、言葉遣い、表情、所作、小道具の扱い方等々、端々に上品さがうかがえました。  昨年ヤフーニュースで「8000本以上のネタを作ってきた」とインタビューに答えていました。大げさに思われがちですが、私はその逆で「ジャルなら1万本以上は作ってるやろ」と思っていました。というのも彼らのネタの作り方は独特で、どちらかが話しかけた言葉をきっかけに止まるまで言葉のキャッチボールを続ける。3分続けば3分ネタ、10分続けば10分ネタに仕上がるという具合です。本人たちが言うこうしてできた「ネタのタネ」を基に磨き上げます。NSC時代からネタ見せでは毎回違うネタを披露していましたし卒業してbaseよしもとへ出演するようになってからは一層頻繁に新ネタを演じていました。  ネタを作り続けることをいわば「癖」にしてしまったところにジャルジャルの凄さがあると思います。YouTubeに毎日新作コントをアップし続けられるのもこのおかげ。常にハイクオリティーなネタを作れればそれに越したことはありませんが、現実はやはり厳しく、次から次へとそういうネタはできません。それだけに、毎日の積み重ねが自分たちの「引き出し」になっていくので、筋トレのようにいかに持続するかが重要になってきます。 「M―1」や「キングオブコント」の決勝前、私は自分の教え子たちに「力を出し切って、ていねいに、ていねいに」とガラケーからメールを送ります。福徳君は9月12日に結婚したばかりなので「結婚した記念になるように」と付け加えました。彼らも毎回一生懸命ですが、奥さんの存在はきっと大きなモチベーションになっていたことでしょう。  コンテストものは“運”と“めぐり合わせ”がキモ。どれだけいいネタを作っても、対戦相手が上回れば負けることもある。13回挑戦し続けて、やっと追い風が吹いたとき、乗りこなせるだけの引き出しを準備していたから、“無冠”だったジャルジャルは運を乗りこなせたんだと思います。 (本多正識/漫才作家)

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