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核兵器って腐ってるんじゃない? 答えを求めてロスアラモスに行ってきた

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ギズモード・ジャパン

核レースを担うスパコンたち

シミュレーションの精度向上には高性能のコンピュータが欠かせません。ロスアラモス研究所が現在保有するのは、世界第7位の計算速度を持つスーパーコンピューター「Trinity(トリニティ)」です。 白タイル張りのにぎやかな室内にガラス張りのドアがあって、その向こうに広がる黒の無機質な空間。ここがシミュレーションを処理し、テープに結果を記録保管する頭脳部。スタックには「極秘機密データ」というステッカーが貼られています。

データはすべてバックアップがある

ちなみにシリコンバレーのローレンス・リバモア研究所には世界第2位のスパコン「Sierra(シエラ)」があって、用途は大体同じです。2つの研究所で互いにデータのバックアップを保管し合って、核攻撃などの有事にオフラインになったりデータが破壊されたときにも対処できるようにしているんですって。 スパコンの開発競争はとどまるところを知りませんけど、核シミュレーションの速度、精度、有効性を高めるためだと思えばそりゃ負けちゃいられませんよね。もちろん研究者の中には高性能コンピュータの限界を見据えて、次代のコンピュータ求めて新たなアルゴリズムや計算理論の追求に励む人もいますし、ロスアラモス研究所でも黒いキューブのD-Waveの量子コンピュータで演算の最適化を研究する人、IBMやIonQなどのクラウドで量子アルゴリズムを研究する人などいました。 こうした研究が進めば「核爆弾腐ってんじゃない?」という疑問の回答も完全にシミュレーションで導き出せるようになる日もきます。その意味では核競争とスパコン開発競争は不可分と言えそうです。

老朽化した核兵器の守り人

ロスアラモスで研究者にお話を聞きながら「核兵器メンテする仕事ってぶっちゃけどうなのよ?」と聞きたい衝動に駆られてしまいましたが、本当に最初は物理、原子力、コンピューティングの平和利用の研究を志してこの道に入った人が多数派でした。「核兵器と核備蓄は国家の根幹です。責任放棄するより、誇りをもってメンテの歯車になりたい」というQualters副部長の思いは、核備蓄の仕事に関わる人すべてが抱えている矜持と感じました。 プログラムは功を奏し、米国の核爆発停止からもうすぐ30年が経ちます。オバマ政権、トランプ政権も新たな核兵器の開発には莫大な予算を割いていますが、核実験は今のところ命じていません。その辺のことについて憂慮する科学者同盟のLisbeth Gronlund国際安全保障プログラム上級研究員兼共同ディレクターに感想を尋ねたら、「もっと怖いのは、信頼性認証より、核実験で国威を誇示したいと考える国会議員。備蓄維持計画の信頼性が不安だとか言って核爆発実験の再開を叫ぶかもしれない」と心配していましたが、Reis元次官補はこの戦略でもう1世代はいけると言ってます。 米国が核実験回避策を見出し実践中です。太平洋上の艦に核攻撃するほどの威力誇示にはならないけど、現場の努力で100%確証をもって信頼性を国会に報告できています。さすがのReis元次官補も「20~25年後のことはわからないけどね」と言ってましたけどね。老朽化する核兵器の行く末は未来の政治家の手に委ねられています。

satomi

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