「突然始まった」 太陽光発電施設の工事、朝からずっと騒音が…区に未加入では説明も受けられないのか 一番近くに住む男性の訴え
「説明無いまま工事が始まった」
長野県富士見町立沢の土地で中部電力グループのジェネックス(愛知県碧南市)による太陽光発電施設設置工事が始まり、近隣住民の男性が「説明がないまま工事が始まった」と訴えている。ジェネックスは5月、立沢区を通じて住民向けの説明会を開いた一方、区に加入していない男性は工事開始を知る機会を逃した。男性は工事に反対の立場で「自身の考えを伝える機会がなかった」と話す。 【地図】太陽光発電の工事が続く富士見町はここ
1日違いで…
富士見町内への太陽光発電施設設置に関する町条例は事業者に対し、事業の許可申請とともに「住民への説明」を義務付けている。説明の対象となるのは「周辺200メートル以内」の住民で、2022年3月18日施行の現行条例が施行される前の旧条例では「周辺50メートル以内」だった。
今回の設置工事で、町は現行条例の施行日前日にジェネックスの許可申請に向けた事前協議の手続きを始めた。男性の自宅は工事箇所から直線距離で約60メートルの位置にある。町によると、施工日前に事前協議の手続きを始めているため、事業者による説明の対象からは外れる。
「説明する」と話していたが
男性によると、ジェネックスが事業用の土地を取得した22年ごろ、担当者が男性宅を訪れて事業計画を伝えた際に、親族が計画に反対の意志を伝えていた。当時、担当者は「具体的に決まり次第計画を説明する」と話していたため、その後、急に工事が始まったことに男性の一家は驚いたという。
「朝から夕方まで騒音が止まらない」
男性は自営業。自宅で仕事をすることが多く、工事について「朝から夕方まで騒音が止まらない。仕事も在宅が多く支障がある」と話す。男性によると、10月中旬以降、自宅から車道や農地を挟んだ土地で、太陽光発電施設設置のための土地造成工事が突然始まり、日常生活に影響しているとする。
謝罪受けたが、続く工事
男性は「自宅は現場から最も近い住宅で工事の影響を受けやすい。条例の対象外になるとはいえ、説明がないのは不自然」と指摘。ジェネックスの担当者は10月下旬に男性宅を訪れ「区に入っていないとは思わなかった。事前の説明がなかったのはこちらの落ち度」と謝罪した。 ジェネックスは条例上問題はないとして工事を継続している。町総務課は「条例違反ではないので(今回の件に関する)対応は難しい」。男性は太陽光発電施設による景観への影響も懸念しており「工事をする以上、景観に配慮した植栽などを求めていきたい」と話している。