世界最大の水メジャー誕生か、中国に食われるか、フランスで水道ビッグ2が敵対的買収で対立
世界1、2位の民間水道会社はフランスにある。ライバルを飲み込みたい1位ヴェオリア、飲み込まれたくない2位スエズの対立が深まっている。 ◇世界1、2位の水道会社 フランスに本社を置く水ビジネスのライバル企業2社が、買収をめぐって火花を散らしている。 水・廃棄物処理大手のヴェオリア・エンバイロンメント(本社オーベルヴィリエ)は、同業のスエズ・エンバイロンメント(本社パリ)を、株式公開買い付けにより113億ユーロ(約1兆3900億円)で完全買収すると宣言した。これに対し、スエズは「買収は敵対的だ」と猛反発。ヴェオリアがスエズを説得できるか注目されている。 ◇売上高5兆円超の水ビジネスが誕生する ヴェオリアは10月15日、スエズの完全買収の第一歩として、スエズの大株主であるフランスの多国籍電力企業エンジーからスエズ株式29・9%を34億ユーロ(約4182億円)で取得している。 仮にスエズの完全買収に成功すれば、ヴェオリアは「世界最大の水ビジネス企業」となり、売上規模は450億ユーロ(約5兆5000億円)を超えるとみられている。 ◇世界70カ国に18万人のヴェオリア ヴェオリアとスエズは、ともに世界有数の水処理の多国籍企業だ。 ヴェオリアは上下水道事業、廃棄物、エネルギー管理の3分野を柱とする。世界70カ国に拠点を持ち、全世界で9800万人に水道サービス、6700万人に下水処理サービスを提供する。2019年のグループ連結売上高は271億ユーロ(約3兆4200億)、従業員は約18万人に上る。 ◇リヨン水道とスエズ運河の合併で誕生した会社 一方、スエズは水道事業、電力事業、ガス事業を行っている。1997年にリヨン水道会社とスエズ運河会社の合併で誕生したスエズ(前身)は、08年にフランスガス公社(GDF)と合併してGDFスエズ(現:エンジ―)となった際、水道事業を切り離し、現在のスエズが担うことになった。