「ボルボだけ」を解体する個性派スクラップヤード 電話が鳴り止まない「人気」の秘密はオーナーにあった
並外れた知識量、鳴り止まない電話
取材中、レイクスには何本も電話がかかってきた。 「2005年式ボルボV70のリアワイパーのモーターですね?」とコッペンさんは電話の相手に確認する。 「アームは左右どちらに付いていますか? 2000年から2004年までは左側、それ以降は右側ですが、2005年に登録された古いクルマは左側に付いていることがあります。モーターの在庫はありますよ」 電話の後、コッペンさんは、過去40年間に得たボルボの部品に関する記憶力には恵まれていると語った。「在庫部品のカタログを作る必要すらありません。何がどこにあるか正確に把握していますし、ボルボの故障とその治療法を学ぶのに何千時間も費やしてきました」 その数分後、「いろいろ試したが240が動かない」という別の電話に対して、コッペンさんはその知識を披露した。「燃料は入っていて、火花も出ているんですね? 火花の大きさが足りないのかもしれません。ヘッドライトの後ろにあるアンプをチェックしてみてください」 コッペンさんによると、レイクスが所有するボルボの平均使用年数は12年だという。しかし、筆者が見る限りではもっと古いものもたくさんある。 コッペンさんは販売のため、ライト、ドアミラー、ラジオ、トノカバーを取り外して保管している。「一番よく売れるんです。クルマにつけたままにしておくと、盗まれてしまいますからね」 ライトのストックは何列にも並んでいるが、どれもラベルは貼られていない。どのモデルに適合するかはわかっているからだという。
クルマに対する深い敬意と愛情
外に出て、スクラップを見て回る。筆者は一番古い1973年式の144を探してみようと思った。コッペンさんは30年前から所有しており、今でも部品を売っていると言う。 しかし、ねじれた金属の中を進むのは大変な作業で(コッペンさんは体調が万全ではない)、なかなか見つからない。でも心配は無用だ。素晴らしい960や940、そして時折850の残骸の中でつまずくだけで十分面白い。あそこに見えるのは480 ES? 向こうにはS80、その隣にはC70がある。 コッペンさんはクルマに大きな敬意を払っている。「昔のボルボは50万kmも楽に走れました。84万5000km走ったV70を引き取ったこともあります。ここにたどり着く理由の大半は、タイミングベルトが切れてエンジンがやられてしまうんです」 ロッペンさんは、もう若くはないんだから、という言葉など気にかけないだろう。しかし、事業を売り払って引退することは考えないのだろうか?「お客さんに必要とされているんです」 「わたしほど古いボルボに詳しい人間はほとんどいません。古いヘッドライトの山を賭けてもいい」
ジョン・エバンス(執筆) 林汰久也(翻訳)