<春闘>ベア「勝ち組」は? 主要企業の回答まとめ
「負け組」は?
一方、春闘の“負け組”となったのはどんな企業でしょうか。 意外なことに、満足のいく回答が得られなかったのも自動車業界でした。軽自動車大手のダイハツとスズキの組合は月3500円のベアを要求していましたが、会社側は社員全員の賃上げは見送り、賃金改善分の原資として月800円を実施するにとどめました。この800円をベアと考えるとしても、日産自動車の満額回答3500円の約4分の1です。同じ自動車業界でこうした違いが出たのは、来年4月に実施される「軽自動車税」の増税が理由といわれます。いま軽自動車は、昨年の販売台数が過去最高を更新し、国内の自動車販売で4割のシェアを占めるほどの人気です。しかし、軽自動車税が引き上げられると、車の持ち主が各自治体に納める税金は現在の年7200円から一気に年1万800円にハネ上がります。この増税が軽自動車大手2社にとって「経営に打撃」になると考えられ、今回の低回答につながったといわれています。
ベアに踏み切れないのは軽自動車だけではありません。4月からは中小企業の回答が本格化します。今年の春闘は中小企業にもベアを行う会社が多いとされていますが、業績の回復が遅れているところも少なくなく、15193の中小企業の組合が加盟する「ものづくり産業労働組合」でベアを要求できた組合の数は692と、全体の43%にすぎませんでした。4月9日には春闘の「第2次集中回答日」が控えています。アベノミクスは本当に働く人の給料アップにつながるのか、注目する必要があるでしょう。 (真屋キヨシ/清談社)