新鮮なジビエ味わって 鴨川・大山地区で有害鳥獣の処理加工施設が稼働(千葉県)
鴨川市在住の猟師たちが、有害鳥獣の解体やジビエ肉の販売を行う「LA SELVAGGINA KAMOGAWA(ラ・セルバジーナ・カモガワ)合同会社」を立ち上げ、同市金束につくった処理加工施設の稼働を始めた。大山地区などで捕獲した有害鳥獣をできるだけ速く持ち込んで新鮮なうちに食肉に加工し、ジビエ肉として販売する施設で、同社は「ジビエのおいしさを見直し、食べたいと思える“大山ジビエ”として売っていきたい」としている。 会社の代表は、10年ほど前から獣害対策に取り組む苅込太郎さん(40)。2022年度の「ビジネスプラン・コンペティション」(県主催)で、房総半島で増え続けるキョンの問題解決について発表し、最高賞の「ちば起業家大賞」を受賞している。 市によると、昨年度はイノシシやキョン、シカなど6700頭以上の有害鳥獣の捕獲が報告されている。苅込さんは、捕獲された有害鳥獣を有効活用し、猟師の手助けになればと、猟師仲間2人と共に会社を立ち上げた。
施設は、120平方メートルの倉庫を借り、改装した。地元の猟友会の会員らがわな猟でイノシシやキョンなどを捕獲すると、生きた状態で同社に連絡。社員が現場に駆け付け、血抜きしてから施設に運び、速やかに処理と加工を行う。 会社の副代表を務める仲村沙織さんは「適切な処理をすることでジビエは格段においしくなる。ぜひ地元の人にその味を知ってもらいたい」と話す。「地産地消」がメインで、一般客や市内のホテル、レストラン向けに販売しており、今後は東京からの需要にも対応していきたいとしている。 苅込さんは「今後も地元の猟友会と緊密な関係を保ちながら獣害対策に取り組み、駆除した有害鳥獣から頂いた命を最後まで無駄なく活用して、地域に貢献できれば」と話している。 (安藤沙織)