【スターシアターズ・榮慶子の映画コレ見た?】ホワイトバード はじまりのワンダー 他者の苦痛へのまなざし
いじめられた記憶は忘れたつもりでも、時折ぞろりとはい出て気持ちをざわつかせる。では、いじめた側はどれくらいの頻度で自分のしたことを思い出すのだろう。 【写真】ぼくとパパ、約束の週末 ジュリアンは、学校でワンダーという難病の子をいじめて居場所をなくし、転校を余儀なくされる。だが、ジュリアンの言動に罪の意識が乏しいとみた祖母は「学校は辞めたんじゃない! 君は弱い者いじめをして退学になったのだ」と叱り、そして話し出す。戦争中、ユダヤ人として過酷な迫害を受けた自分を、命がけで助けてくれたジュリアン一家のことを。 孫の犯した過ちを共に受け止め、自分が他者の痛みに無自覚だったことも吐露しながら「正しいことより親切を」と諭す祖母の言葉は重い。正義を盾に振りかざされる不寛容さは、どこまで私たちをむしばむのか。(スターシアターズ・榮慶子) ◇サザンで上映中