なぜ音楽ビジネスに「音楽出版社」が必要か
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(4月1日放送)にフジパシフィックミュージック会長の朝妻一郎が出演。音楽ビジネスにおける音楽出版社の役割について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。3月28日(月)~4月1日(金)のゲストはフジパシフィックミュージック会長の朝妻一郎。5日目は、音楽ビジネスにおける音楽出版社の役割について― 黒木)音楽の著作権などを扱う音楽出版企業、フジパシフィックミュージックですけれども、改めまして、朝妻さんが書かれた本をご紹介させていただきます。『高鳴る心の歌 ヒット曲の伴走者として』というタイトルですが、これはこれから音楽業界に入るような方に、音楽業界がどのように成り立ってきたのかということを知ってもらいたい、勉強してもらいたいということで書かれたということですね。 朝妻)最近の若いアーティストの方は、YouTubeやTikTokなどで、自分で音楽をつくって、発表できてしまいます。それで世の中の人たちに受け入れられてしまうので、「音楽出版社もレコード会社もいなくてもいい」と思われる方も多いのです。 黒木)自分たちですべてできると。 朝妻)しかし、我々としてはそうではなく、我々が一緒に仕事をすることによって、あなたたちの命をもっと長くできる、あるいはヒットのサイズを大きくすることができるのです。「我々と組んだ方が絶対にいい」ということもここには込めています。 黒木)アーティストの音楽を守るということも音楽出版の役割であるということですよね。 朝妻)基本的に音楽出版というのは、作家の方と著作権の契約をして、「契約した楽曲が1円でも多く使用料を稼ぐようにありとあらゆることを考えて行動する」ということが基本的な仕事です。アーティストや作家にとっても自分たちの収入、あるいは自分たちのキャリアが伴走者と一緒に大きくなっていくということにつながると思うのです。 黒木)それで著書のタイトルに「伴走者」という言葉が綴られているわけですね。いまは音楽の聴き方が変化してきています。それについてはどのように考えていらっしゃいますか? 朝妻)TikTokなどの曲を聴いていると、早く本編のメロディーへ行こうということを感じます。昔であれば、イントロでいいメロディーだと感じて、イントロの素晴らしさがヒット曲につながるという要素がありました。でも、いまはイントロが短くなっているのです。それは、音楽を聴いている人にとってどうなのかなと思います。 黒木)イントロの素晴らしさがない。 朝妻)本当はイントロにも優雅なインストゥルメンタルの演奏があって、それからボーカルが入るという流れがあってもいいのにと思います。 黒木)そうですね。 朝妻)それから、いまはみんなイヤホンで聴きますが、「部屋で大きなスピーカーで聴く」という音楽の聴き方も必要なのではないかなと思います。「そんなことを言っていると年寄りだよ」と言われてしまうかも知れないけれども。