「Clubhouse」に音声技術提供、中国「Agora」の株価が高騰、IM系API大手も買収
ビデオ通話やライブ配信など音声・動画によるリアルタイム通信を支援する、米中両国に本社を置く中華系クラウドサービスプロバイダー「Agora.io(声網)」は先月28日、インスタントメッセンジャーのAPIプロバイダーとして中国トップクラスの「Easemob(環信)」を買収することで双方が最終合意に達したと発表した。取引は今年第1四半期にも完了する予定で、両者はそれぞれの強みであるRTC(リアルタイムコミュニケーション)とIM(インスタントメッセンジャー)の両分野を基盤に製品面での結びつきを強めていく方針だ。 発表当日のagoraの株価は54ドル(約5670円)で、わずか1週間で40%も高騰している。 さらに、世界で爆発的に人気が出ている米音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」に、agoraが音声技術サービスを提供しているというニュースがネット上で流れ始めた後、同社の株価は再び急騰した。現地時間2月2日の時点で、同社の株価は74.87ドル(約7860円)上昇し、時価総額は74億3000万ドル(約7800億円)となっている。 昨年10月にはagoraが一貫してベンチマークとしている米クラウドコミュニケーションプラットフォーム「Twilio」も顧客データプラットフォームのスタートアップ「Segment」を買収している。 コロナ禍によって音声・動画通信関連企業は世界的に急成長期に入った。Twilioは昨年5月に財務諸表を発表して以降、株価が上昇を続けている。同社による企業買収は当然の成り行きで、高騰する株価によって長期的な戦略資産を手に入れ、これが報じられることでさらに株価が上昇している。 音声・動画によるリアルタイム通信の累計利用時間は1兆分、登録された関連アプリケーションは全世界で24万5000(昨年9月時点)、agoraでは月平均400億分の利用がある。コロナ禍で急成長したRTCプロバイダーとして、agoraは今回のEasemob買収を機にTwilioとの距離をさらに縮められるのだろうか。