乗客が降りる→道路に横たわる→気付かずバックしてひく→現場を立ち去る 過失運転致死などの罪に問われたタクシー運転手の男 懲役2年6ヶ月の実刑判決 広島
タクシーから降ろした乗客をひいて、死亡させた罪などに問われているタクシー運転手の男に、広島地裁は29日、懲役2年6カ月の実刑判決を言い渡しました。 【画像を見る】袋小路となっている事故現場の様子 起訴状などによりますと、広島市安佐北区のタクシー運転手、加藤久和被告(62)は6月、広島市東区で乗客の男性(当時47)を降ろした後、方向転換しようとバック。その際、タクシーの後ろで横たわっていた男性に気づかないままひき、救護するなどの必要な措置をとらず死亡させたとして、過失運転致死と道路交通法違反の罪に問われていました。 さらに、加藤被告はコロナ禍の2020年、個人事業者のための持続化給付金制度を悪用し、うその申請をして100万円をだましとったとして、詐欺の罪にも問われていました。 加藤被告はこれまでの裁判で、いずれも起訴内容を認めていて、弁護側は情状酌量を求めていました。 広島地裁の角谷比呂美裁判官は29日の判決で、詐欺について「新型コロナウイルス感染症の影響で業績が悪化した個人事業主を救済するための緊急対策制度を悪用したもので悪質性は高い」と指摘しました。 過失運転致死などについては「降車後、道路上に横たわっていた被害者側にも相応の原因はあるが、被害者が酔客であることを知っていたのだから、職業運転手として慎重な運転が求められる」とし、「被害者をひいたことに気付きながら、救護せず放置して走り去ったことは、強い非難を免れない」と指摘しました。 そのうえで「被告人は反省の言葉を述べ、遺族に対し加入する任意保険で賠償がされる見込みである」として、加藤被告に懲役2年6か月(求刑4年)の実刑判決を言い渡しました。
中国放送