ANAの現役CAが語る苦境「副業は上限まで働いても月4万弱」「五輪で大量採用が仇に」
まったく収束の兆しがない“新型コロナウイルス”は、経済面に深刻な影響が現れている。なかでも航空業界への打撃は凄まじく、全日本空輸(ANA)の国際線運行本数は前年に比べて8割減(10月時点)。今後も旅客数の回復が見込めず、ANAホールディングスの2021年3月期の連結純損益は、5100億円の赤字になる見通しだ。 【画像】新型コロナ対策のためマスクを着用するANAのCA 同社は支出を抑えるために、創業後初めての“冬のボーナス全額カット”や、賃金の削減など、苦渋の決断が続いている。
これ以上収入が減るのは気が重い……
もちろん、渦中の客室乗務員(CA)たちの不安は尽きない。ANAの正社員CAとして働く斉藤麻衣さん(仮名・30歳)は「フライト数はほとんど戻っていない」とため息をつく。 「私個人のスケジュールでいえば、今月は国内線に3日の搭乗のみでした」 彼女は働けないフラストレーションも溜まっているが、それ以上に収入面の心配が大きい、と話す。 「CAの基本給はそれほど高くないので、フライト手当やステイ手当などで稼ぐ歩合制です。なので、フライトが減れば収入も減ってしまいます。もともと月によって給与が変動していましたが、去年と今年を比較すると最大20万円下がった月がありました。ここまで収入に差が出るのは、初めての経験です」 そんな状況のなかで、冬のボーナスカットと月々の賃金カットも決定している。都内で独り暮らしをしている斉藤さんは「新型コロナが流行して以降、生活費の心配が尽きない」と話す。 「冬のボーナスはないだろうと覚悟していたのでそこまで驚きはありませんでした。今もう貯金を切り崩して生活していると言っている後輩もいます。すでに大幅に収入が減っているのに、さらに基本給などがカットされ、ここからまた賃金カットも始まるかと思うと不安です」
会社の最新情報はネットニュースで知る
会社の最新情報は、ネットニュースで一報を知ることも多いと斉藤さん。 「今は搭乗するCAの人数も制限されているので、CA同士で情報を交換する場がないのが現状です。ただ、久々のフライトで後輩と話してわかったのが、“みんな仕事がない”ということ。私たちは、時給が安い若手CAを優先してアサインしていると思っていたんですけど、そもそものフライトが大幅減便してるのでみんな仕事がないようです」 みんな仕事が減っているなか、優先的にフライトを割り当てられているCAもいるという。 「ANAでは、一部のCAは契約社員で働いています。その多くは、子育て中や介護中など、プライベートを優先したい人たちです。役職につくことはなく、接客専門の人たちなのですが、どうやらANAでは今、この契約社員のCAを優先してアサインしているようです。というのも契約社員は最低フライト時間が保障されているので、優先的にアサインせざるを得ないとか」