パリ五輪・パラリンピックでのプラスチックごみ削減の取り組みを紹介する元ラグビー日本代表の五郎丸さん（左）と元競泳日本代表の井本さん＝京都市下京区・キャンパスプラザ京都

　全国で猛暑が続く中、地球温暖化がスポーツにもたらす影響などを学ぶセミナーが22日、京都市下京区のキャンパスプラザ京都で開かれた。元ラグビー日本代表五郎丸歩さんと、元競泳日本代表井本直歩子さんの対談などが行われ、参加者がCO2削減に向けてできることを考えた。 　プラスチックごみの削減を目指すアスリートのプロジェクトに携わる五郎丸さんは、暑さのため屋外競技ができなくなり、「プロを目指す選手が減ってしまうのでは」と危機感を示した。 　五郎丸さんと井本さんはパリ五輪・パラリンピックの現地を訪れ、清涼飲料水の販売をデポジット制にしたり、選手向けの食事を野菜中心にしたりするなどの取り組みが行われていたと紹介した。 　ただ、肉料理を求める選手からは不満も上がっていたとの課題も指摘し、五郎丸さんは「選手との（意識の）ギャップが縮まれば、より持続可能な大会になる」と述べた。スポーツの力を生かした社会課題の解決に取り組む井本さんも「スポーツの大会が脱炭素社会に影響し、人の行動が変わる」と話し、同様の取り組みを国内外の大会に広げることが必要と語った。 　国連の「気候変動に関する政府間パネル（IPCC）」がまとめた第5次、第6次評価報告書の主執筆者だった東京大未来ビジョン研究センターの江守正多教授も講演した。 　何も対策をしなければ2300年に海面が2～7メートル上昇し、海に面した国では作物がとれなくなるなどの影響を受けるとした。影響を受ける国の多くは温室効果ガスの排出が少ない国だと説明し、「この理不尽さをどう受け止めるかが問われる」と訴えた。 　セミナーはライオンズクラブ国際協会335―C地区の主催で、約200人が参加した。