SMBC、石炭火力向け融資残高ゼロ強調
三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)は2020年度上期投資家説明会で、「気候変動リスクへの対応」として「2040年度を目途に石炭火力発電向け貸出残高ゼロ」を強調した。(オルタナ総研コンサルタント=室井 孝之)
同社グループは今年4月、融資方針について「石炭火力発電所向けの投融資停止」「2040年度を目途に石炭火力発電向け貸出残高ゼロ」「カーボンリサイクル等脱炭素社会への移行に向けた取組は支持」を発表した。投資家向け説明会でも同様の方針を繰り返し強調した。 同社グループは今年4月、経営理念に「社会課題の解決を通じ、持続可能な社会の実現に貢献する」を追加した。 持続可能な社会の実現を目指す基本姿勢として「SMBC グループサステナビリティ宣言」 を策定した。 「SMBC グループ サステナビリティ宣言」では、SDGsの達成や社会課題の解決を目指し、全てのステークホルダーと対話し共に行動し、社会をより良いものへ変革することに貢献していく」と明示した。 更に今年8月に発行したTCFDレポートでは、気候変動に影響を与える可能性が高いと考えられる、石炭火力発電、石油・ガス、炭鉱採掘、パーム油農 園開発、森林伐採の各セクター・事業に対して方針を策定している。
背景に責任銀行原則
パリ協定の採択以降、気候変動への取組が加速し、日本政府も2050年までに温室効果ガス排出量の100%削減と世界的に脱炭素への動きがその背景にある。 同社グループの一連の取り組みの背景には2019年9月、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱する「責任銀行原則(PRB:Principles for Responsible Banking)」署名がある。 責任銀行原則は、持続可能な社会の実現に向けて、SDGsやパリ協定等の社会的目標と整合した事業活動を銀行に促すことを目標に策定されたものだ。2019年9月世界131行(内日本4行)で発足した。 「石炭火力発電所向けの投融資停止」ならびに「2040年度を目途に石炭火力発電向け貸出残高ゼロ」の方針は同社グループの他、三菱UFJフィナンシャルグループ(2040年度目途)、みずほフィナンシャルグループ(2050年度目途)も示している。