「自分がワクワクする方へ」東京でのキャリアを手放し、長野県小海町で新たな挑戦をする女性が「住むのはどこでもいい」と語る理由
『地域おこし協力隊』は、「地域協力活動」を行いながらその地域への定住に向けた準備ができる、総務省が主体の取り組みです。長野県小海町(こうみまち)では、さまざまな地域おこし協力隊が活動しており、その中のひとつに「憩うまちこうみ事業」の運営があります。 【漫画】「家が見つからない」→引っ越ししようと思ったら「業者のエリア外」!? 「あこがれの地方移住」は苦労の連続 いそがしい毎日を過ごす都市部ではたらく人々を、社員研修やワーケーションといった形で受け入れ、自然を生かした『Re・Designセラピー』で心とからだを穏やかに整えるお手伝いをする、そんな「憩うまちこうみ」の事務局を担当されている浅田 恵理子(あさだ えりこ)さんにお話を伺いました。 以前はご自身も東京でマーケティングリサーチの企業で働き、ハードワークをこなしていたという浅田さん。移住前は「もし嫌だったら2、3カ月で帰ろうと思っていた」と笑いながら教えてくださいましたが、現在は小海町でご結婚され、先日第一子をご出産されました。なぜ縁もゆかりもない土地への移住を決めたのか、その経緯と、住むところとキャリアの関係性についての考え方をお聞きしました。
ずっと同じ環境にいると気付かないうちに疲れてしまう
―地域おこし協力隊の概要を教えてください 現在は、「憩うまちこうみ」事業の事務局をメインで担っていて、都市部の企業向けにリフレッシュ研修を提供しています。「憩うまちこうみ」は、はたらく人の心と体への気づきにアプローチすることを目的に、五感を開放するための森林ウォークや自分を見つめ直すヨガセラピー、仲間と語り合うための焚き火セラピーといったプログラムを企画・運営している事業です。平均すると大体月2回ぐらいは開催しています。滞在中のアテンドは基本的に自分でやるので、イメージとしてはバスの添乗員さんみたいな感じですね。 あとはセラピストを担うのが町内の方々なので、その育成と、宿泊場所や食事をとる場所など、いつでも受け入れができるように、町内の調整や関係性を常に深めています。 ―参加者にはどのような方々がいらっしゃいますか 都市部での忙しい毎日に疲れている方が多いです。森林ウォークでは、森の中で10分ぐらいぼーっとする時間を取ってもらうのですが、気がついたら涙が流れていましたという方もいます。自分を見つめ直す時間をとって、「思っていたよりも、自分は今まで頑張っていたんだ」と気づける時間を提供できているのではないでしょうか。ポジティブな感想を頂けることが多いです。 ずっと同じ環境にいると、気づかないうちに無理をしてしまいます。都市部よりも田舎がいいと決めつけるわけではないけれども、たとえば何かに行き詰まったときに、ちょっと公園を散歩すると息抜きになったりするじゃないですか?それと同じで、参加者の方々に普段と違う環境に身を置いてもらうことで前を向くサポートができる、そんな事業の必要性を感じています。 ―「憩うまちこうみ」事業のコンセプトに共感を抱いて参加なさったのですね 大学で心理学を学んでいたので、人の心の動きに関心がありました。前職のマーケティングリサーチの会社を選んだのも、人の購買行動に心理学が関わっていると知ったからです。ただ、前職では残業が多く、体調を崩す同僚を多く見てきました。そのこともあり、「私が私になれるまち」をコンセプトにセラピーを提供する「憩うまちこうみ」事業に興味をもちました。