「政教分離攻撃」から無節操な大豹変「菅首相」と「創価学会」太い絆
日本国政府と創価学会のダイレクトな関係
菅首相と佐藤副会長の濃密な関係は、各種の選挙や政策決定などの重要な政治的局面でさまざまな影響力を発揮している。 その実例を2つ挙げておこう。 1つは、政策決定の場面で、2019年の消費税増税に際し、与党税制調査会で合意していた財務省主導の還付案を「菅―佐藤ライン」でちゃぶ台返しして、創価学会が望む軽減税率を導入した事実である。 そしてもう1つ、選挙では、いまや一大金権選挙として司直の手が入っている昨年の参院選広島選挙区で、新人の河井案里候補が、自民党岸田派の重鎮である溝手顕正候補を追い落として当選できたのも、創価学会の全面支援によるものであったことを指摘すれば十分だろう。 当初、広島県の創価学会と公明党は、河井夫妻の評判が悪いことから、河井候補支援を渋っていた。ところが、苦戦する河井候補への支援を官房長官だった菅氏に依頼された佐藤副会長自らが広島入りし、河井候補支援は苦戦している兵庫選挙区とのバーターだと地元組織を説得。公示2日後には、原田稔創価学会会長も広島入りし、河井候補支持で組織を引き締めたことから、安倍晋三首相(当時)と犬猿の仲といわれていた溝手候補の落選と、菅氏の側近である河井克行代議士の妻である案里候補の当選が実現した。 その間、菅官房長官は自民党候補への支援を差し置いて、公明党候補支援のために3度も兵庫を訪問し、それまで自民党を支持していた港湾関係団体を公明党支援に差し替えるなど、公明党候補の当選に尽力したのである。 「美しい日本を取り戻す」「戦後レジームからの脱却」を掲げ、改憲に突き進むなど、イデオロギー型政治家の安倍前首相と、平和と福祉を掲げる公明党・創価学会は、本来的には水と油の関係だった。また、安倍氏と山口代表は肌合いが合わず、安倍政権下の自民党と創価学会・公明党の関係は実は終始ギクシャクしており、その調整を図っていたのが菅―佐藤ラインだった。 その結果、安倍政権での首相官邸と創価学会・公明党の関係は、公明党という緩衝材を抜きにしてのダイレクトな関係、すなわち日本国政府と、創価学会という宗教団体がダイレクトに握り合う異常な関係へと変質してしまい、それが今日の菅政権に至っているのである。