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選択的夫婦別姓はなぜ実現しない!? 非合理的な「改姓」制度について考える。

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VOGUE JAPAN

現在の民法のもとでは、結婚に際して男性又は女性のいずれか一方が必ず苗字を改めなければならない。夫婦同姓の文化が必ずしも悪いわけではないけれど、明治時代以降、別姓の選択肢も与えないまま法で規定している国は世界で日本だけだ。連載第5弾は、女性記者Kさんが自身の経験をもとに、改姓によるさまざまな影響について話してくれた。

夫婦別姓に立ちはだかる壁。

一昨年、私は結婚した。そもそも法的な結婚にこだわりはなかったし、自分だけ姓が変わるのは不公平だとシンプルに思ったので、結婚前に夫とどちらが改姓するか、あるいは事実婚にできないか、かなり話し合った。 しかしいまの制度の下では、事実婚では相続手続きなどが煩雑になることや、配偶者控除などが認められないこと、入院や手術の代理手続きができないことなど、リスクがありすぎる。さらに、改姓後に旧姓を通称として名乗ることはできても、病院でカルテがややこしくなって生死に関わるリスクが生じる可能性だってある。 というわけで、今後さまざまな不都合が生じることを考慮して、最終的には私の方が年上の夫の姓に変わる形になった。自分でも寛大な妻だと思う。とはいえ、今も納得しているわけではなく、いまだにそれが自分の名前だという実感は得られていない。 家族の絆とキャリアの分断。 いずれ子どもができたときのことを考えるとさらに悩ましい。別姓だと「家族の一体感がなくなる」という意見も聞かれるが、実際、親子別姓の家庭は海外では珍しくないし、日本でも国際結婚の家庭などでは別姓が基本だ。家族の結びつきは、名前ひとつで揺らぐほど脆弱ではないはずだ。今後、もしも夫婦別姓が選択できるようになって子どもを授かることがあれば、産まれたときにどちらの姓を名乗らせるか決めてもいいと思っている。 改姓のリスクはほかにもある。キャリアの分断だ。じゃあ旧姓を通称使用すればいいじゃないかという意見もあるかもしれないが、2017年に内閣府が行った調査によると、旧姓使用を認めている企業は45.7%と半分に満たない。旧姓を使えない職場はまだ多いのだ。特許の出願も旧姓ではできないし、経営者だって商業登記や法人口座などで無駄な手間がかかる。あるいは、旧姓を使わないと決めた場合、例えば記者の記事や研究者の論文などは改姓により過去の実績と紐付けできなくなってしまう。どんな職種であっても、不都合がまったく生じないとは言い難い。

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