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クマ、また人を襲う? 1年前に事故相次いだカムエク山 専門家「可能性十分ある」

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十勝毎日新聞 電子版

 【北海道中札内村】いよいよ北海道でも登山シーズン、だが…。昨年7月、登山者2人が相次いでクマに襲われた日高山脈のカムイエクウチカウシ山(通称カムエク山、1979メートル)。事故後、道や村などは登山者に登山自粛を呼び掛けたが、今年は求めない方向だ。しかし、事故を検証した専門家は「同じクマが再び襲う可能性は十分ある」と警鐘を鳴らす。(高田晃太郎)  事故が初めて起きたのは昨年7月11日。神戸市の男性=当時(65)=が山頂付近の八ノ沢カールで野宿した後、登頂しようと歩き始めた際にクマと鉢合わせし、右腕を負傷した。同29日には札幌市の男性=当時(47)=が近くの場所で、頭や肩をかまれるなどし、50針を縫う重傷を負った。いずれも単独で、明け方の事故だった。  事故後、村は「襲われた場所はもともとクマのすみか」として駆除しなかった。代わりに道や道警、森林管理署と協力し、ホームページやポスターなどで登山者に登山を自粛するよう強く呼び掛けた。

 1年がたち、今年は自粛は呼び掛けない方向だ。道は「期限付きではなかったので、年度が替わり、中ぶらりんな状況」(自然環境課)とする。村も「同じ危険が継続しているか分からず、検証もできない。昨年の事故の情報提供はホームページで行うが、自粛は求めない」(住民課など)との考えだ。  クマの専門家で、被害者2人から聞き取り調査をした道総研環境・地質研究所の間野勉研究主幹によると、問題のクマはDNA鑑定でどちらも雄であることが分かっている。「襲われた時間や場所、状況などから、同一個体の可能性が非常に高い」という。  事故の原因については「人の存在をクマに知らせる努力が足りなかった」と指摘する。襲われた2人はどちらも鳴り物を携帯していたが、「風向き次第で聞こえにくいこともある」。一方で、「事故後に駆除すべきだった」と考える間野主幹は「2度も襲ったのは引っ掛かる。あのクマが今も同じ山系に生息し、カムエク山や周辺の山で、再び襲う可能性は十分ある」と警告する。  道内では、7年前に人を襲い死亡させたクマが、翌年、再び人を襲った事例がある。  2013年4月、桧山管内せたな町で当時52歳の女性がクマに襲われ、死亡。翌年4月にも同町内で当時45歳の女性が襲われ、重傷を負った。その際、一緒にいた男性がナタで追い払い、現場にあったクマの血痕を調べたところ、2件とも同一個体と判明した。問題のクマは同年8月に捕獲され、処分された。  カムエク山で人を襲ったクマが捕獲されたとの情報はないが、山に登るかどうかの判断は登山者次第。クマに詳しい酪農学園大学(江別市)の佐藤喜和教授は「今のところ、単独の登山者だけが襲われているので、複数で行動するべき」と強調。万が一、再び事故が起きた際は「(行政は)昨年の個体と同一かどうか、DNA鑑定できちんと確認できる試料を採取することが大切」と話している。

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