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【北海優駿・回顧】生産地に最も近い競馬場のダービーで感じた“競馬のロマン”/田中哲実コラム

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netkeiba.com

◆カツミエコーに遡る思い入れのある母系  去る6月18日、門別競馬場にてホッカイドウ競馬“ダービー”である「第48回北海優駿」が行なわれた。「北斗盃」に続き、道営3歳3冠路線の第二戦である。  12頭が揃った。1番人気はアベニンドリームの1.6倍。第一戦の5月14日北斗盃では断然の1番人気に推されながら期待に応えられず6着に敗退したが、その後1戦(6月3日タカネナデシコ特別=1着)を挟んで、中1週で北海優駿に臨んできた。  2番人気は牝馬ながら、その北斗盃を制したレッドカードの4.0倍。3番人気は中央から移籍後、門別で3連勝中のコパノリッチマンが続いた。  距離は外回り2000m。1着賞金は今年一気に増額されて1000万円の大台に乗った。因みに北海優駿の1着賞金は、2007年~2018年の12年間、ずっと500万円の時代が長く続き、昨年、ようやく700万円まで回復し、さらに今年また上乗せされた。近年の馬券売り上げが好調に推移していることから、やっと1990年~1998年の水準まで戻ったことになる。  発走は午後8時40分。晴れた夜空にファンファーレが鳴り響き、定刻通りにスタートが切られた。まず飛び出したのはシンボ(松井伸也騎手)。コパノリッチマン(服部茂史騎手)、クラモン(落合玄太騎手)、アッカレッツァーレ(岩橋勇二騎手)、レッドカード(井上俊彦騎手)という順でスタンド前を通過して行く。その後にアベニンドリーム(桑村真明騎手)が続く。シンボが先行したまま、向こう正面から3コーナー、そして4コーナーへとレースが進む。1番人気アベニンドリームは徐々に順位を上げ、4コーナーでは3番手まで進出してきた。  直線に入ると、シンボとコパノリッチマン、アベニンドリームの3頭の争いになったが、残り1ハロンを過ぎたあたりでコパノリッチマンが後退し、外側からアベニンドリームが内で粘るシンボを何とか交わして抜け出したところがゴールであった。  勝ちタイムは2分12秒8。見事にアベニンドリームが人気に応え、道営3歳チャンピオンの座についた。  勝ったアベニンドリームは、父オンファイア、母アベニンプラナス、母の父サウスヴィグラスという血統の3歳牡鹿毛馬。桑村真明騎手が騎乗。管理調教師は角川秀樹師。馬主は(株)マステック。生産は日高町のスマイルファーム。通算成績は13戦4勝2着6回。獲得賞金は2445万円。桑村真明騎手はこれで同レース3度目の勝利、また角川秀樹調教師も、ギルガメッシュ、スティールキングに続きこのレース3勝目である。 「嬉しいです。前走よりも返し馬はリラックスしていたので折り合いは大丈夫だろうと思いました。とりあえず折り合いだけしっかりとつけることを考えて乗りました。最後はシンボが粘っていたのですが、何とか交わせました。能力ある馬で、なかなか結果が出せなかったのですが、今日勝つことができて、これからも強いアベニンドリームをお見せできれば、と思います」と桑村真明騎手。 「状態面に関しては問題なく、中1週で来ましたが、この馬はそれくらいの方が合っていると思います。前走は初ブリンカーで少しかかっていたように感じますが、今日はスローペースでも落ち着いていました。3冠を意識していたのですが、北斗盃では負けてしまいましたので、残り1冠(王冠賞)を目指して頑張ります」と角川調教師がレース後コメントしていた。  なお、この数日後、生産者のスマイルファーム・中村広樹氏にお会いして少しお話を伺う機会を得た。中村氏は「レースは家族で自宅にて観戦しました。アベニンドリームは、母系がカツミエコーに遡ります。私にとっても、妻の実家から受け継いだ思い入れのある母系なので、勝てて本当に嬉しかったですね。これぞ競馬のロマンだと思いました」と声を弾ませながら笑顔を浮かべた。  カツミエコーは日本ダービー馬ミホノブルボンの母で、同馬の生産者である原口圭二氏は、義父にあたる。カツミエコー~ダンシングエコー~ダンシングバード、そしてアベニンドリームを生んだアベニンプラナスと血が繋がってきているわけである。観客はもちろん、馬主も生産者も未だ門別競馬場には入場できないのだが、もし中村広樹氏のご家族が来場していたら、どれほど盛り上がったことかと思う。目の前で生産馬が優勝したのだから、これほどの喜びはそうそうあるものではない。とにかく、門別は生産地に最も近い競馬場である。再び人が戻ってくる日が本当に待ち遠しい。  (文=田中哲実)

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