ムロツヨシの「想定外の芝居」 6年ぶりタッグの吉田恵輔監督をときめかす
『BLUE/ブルー』『空白』などの吉田恵輔監督がムロツヨシを主演に迎えた新作『神は見返りを求める』(公開中)。ムロが演じたのは、「神様のようにいい人」と言われるイベント会社勤務の田母神(たもがみ)。本作で『ヒメアノ~ル』以来、約6年ぶりにムロと組んだ吉田監督が、ムロをキャスティングした理由、彼ならではの魅力について語った(吉田の吉はつちよしが正式表記)。 【動画】「イイ人」と呼ばれるムロツヨシの本音は? 吉田監督が『BLUE/ブルー』『空白』に続いてオリジナル脚本を手掛けた本作。ムロ演じる主人公・田母神が、底辺YouTuber・ゆりちゃん(岸井ゆきの)と出会い、恋が始まると思いきや、ある事をきっかけに二人の関係が豹変していく。ムロと言えば、芸能界での交友関係も広く、先ごろ発表された「高校生が選ぶ父親になってほしい芸能人」ランキングで1位に輝くなど、好感度の高い俳優だ。しかし、ムロを「神様のようにいい人」な主人公に起用したことには「パブリックイメージと重なったというところは特に重要視していなかった」という。
「何となくポップであり、若干哀れにも見えて、危うさもはらんでいる、といったイメージがちょうどいいなと。いわゆるダンディー路線の方だとちょっとすかした笑いになってしまうと思うんですけど、ムロさんなら負の側面を笑いに変換できるだろうなと」
ムロと初めて組んだのは、古谷実の漫画を実写化した2016年公開の映画『ヒメアノ~ル』。ムロは本作で、清掃会社で働く主人公(濱田岳)の地味だがエキセントリックな同僚役で強烈な存在感を放っていた。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズをはじめとする福田雄一監督のコメディー作品などどちらかというとバイプレーヤーとしての活躍が多かったムロだが、近年はドラマ「親バカ青春白書」(2020)や「雨に消えた向日葵」(2022・7月24日よりWOWOWで放送)など主演が相次ぎ、昨年主演映画『マイ・ダディ』が公開された。今や飛ぶ鳥落とす勢いのムロだが、吉田監督は6年前のムロとの出会いについてこう述懐する。 「ムロさん、僕と同い年なんです。今は違うということではないのですが『ヒメアノ~ル』で出会ったとき、すごく謙虚だったんですよね。その姿を見て、この方は才能あるけど苦労人でもあるんだなと感じたんです。周囲への気遣いも細やかで、“ちゃんとやってきた”人なんだと。情を凄く感じたんですよね。そういう感じが見えるからみんな好きになってしまうのかもしれない」