「心の中で思っていても口に出せなかったこと…言ってくれた」演技だけではなく“言葉”でも感動させた内村航平
◇体操「友情と絆の大会」で閉会スピーチ 体操の日本、米国、ロシア、中国による国際大会「友情と絆の大会」が8日、東京・代々木第一体育館であった。新型コロナウイルス感染拡大後、初めて国内で開催された五輪競技の国際大会。五輪男子個人総合2連覇の内村航平(31)=リンガーハット=は鉄棒で全体トップの15.200を挙げ、閉会スピーチでは東京五輪への厳しい世論にふれ「どうかできないとは思わないで」と訴えた。 ◇ ◇ ◇ 新型コロナウイルス禍を乗り越え、世界から集った選手たちが笑顔で互いをたたえ合った閉会式。出場選手を代表して内村がマイクに向かって発した言葉は、アスリートの心の内を代弁するメッセージだった。 「五輪ができないんじゃないかという意見が80%を超えている。できないじゃなく、どうやったらできるのか。考えを変えてほしい。大変なことは承知の上。国民の皆さんとアスリートが同じ気持ちでないと五輪はできない。やり方は必ずある」。切々と訴えた。 その後の記者会見では「世の中の五輪への支持が低いのを知って『このままじゃいけない』と。この場を借りて発信した方が届くと思った」と真意を明かした。女子代表の寺本明日香は「心の中で思っていても口には出せなかったことを、航平さんが言ってくれた」と感謝した。 自身2年ぶりの国際大会では実力も証明した。東京五輪に向け、専門種目に絞った鉄棒ではH難度の大技を決め、昨年の世界選手権で出した種目別金メダルのスコアも上回った。「皆さんに夢と希望を与える選手でありたい」と公言した通りの演技で喝采を浴びた。 大会後には、自身が生まれた北九州市で来年10月に世界選手権が開催されることが発表され、「運命しか感じない」と語った。
中日スポーツ