早産児28人が治療のためエジプトに、ガザ地区のアル・シファ病院から避難
パレスチナ自治区ガザ地区北部のアル・シファ病院にいた早産の新生児28人が20日、エジプトに避難した。そのうち12人は追加治療を受けるため、飛行機で首都カイロまで搬送された。 BBCアラビア語のヤスミン・シャヒン記者によると、アル・シファ病院からエジプトに移動した赤ちゃん28人は、ガザとの境界から約40キロ離れた場所にあるアル・アリシュ病院に搬送された。赤ちゃんの家族5人が付き添い、エジプトへ同行しているが、赤ちゃんの中には孤児もいるという。 世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、エジプトに搬送されなかった赤ちゃん3人について、引き続きラファの病院で治療を受けていると説明。全ての赤ちゃんが「深刻な感染症や他の疾患」と闘っており、専門的な治療を必要としていると述べた。 ガザ市などで攻撃を続けるイスラエル軍は、イスラム組織ハマスがアル・シファ病院の地下に大規模な司令部を構えていたと主張し、攻撃を続けた。同病院は現在、イスラエル軍の管理下にある。 赤新月社は19日、国連と連携してこの病院から早産児31人を、まず南部ラファのアル・ヒラル・エミレーツ病院に避難させた。 赤新月社はさらに20日、31人のうち28人がエジプトで治療を受けるため、ラファの検問所へ向かっていると発表。エジプト側でも、ガザ地区との境界から約50キロ離れたエル・アリシュ空港に、同国保健相を含むチームが到着し、赤ちゃんの引き渡しを待った。 ■赤ちゃん3人はガザ地区南部に残り エジプトとの国境に近いガザ地区南部ラファにあるアル・ヒラル・エミレーツ病院のモハメド・サラマ医師は、BBCアラビア語の取材に対し、赤ちゃん3人がガザ地区に残ることになった理由を説明した。 サラマ医師は、「何人かの親はきのう、この病院に来て赤ちゃんの身元を確認した」と説明。「赤ちゃんにエジプトで治療を受けさせるため、親たちに同意に署名するよう求めた」と話した。サラマ医師は、同病院新生児科の責任者。 「両親が分からなかった赤ちゃんは1人で、私たちと一緒にいる。容体が安定しており、治療のために移動する必要がなかったので、この子を残すとガザ地区の保健省が決定した」 「2人の赤ちゃんについては、個人的な事情からエジプトに送りだすことを親が拒否した」 3人の容体は安定しているという。 ■「病院が標的になるなんて」 エジプトに避難した赤ちゃんの母親、ロブナ・アル=サイクさんはロイター通信の取材を受け、3人の子供たちと引き離されたことについて、「子供たちを抱きしめることも、さよならを言うこともできなかった」と、つらい思いをあらわにした。 アル=サイクさんの娘は呼吸器に疾患があり、アル・シファ病院で酸素供給を受けていた。アル=サイクさんは娘を入院させた後、夫と共に南部へ避難せざるを得なくなり、娘と離れ離れになってしまったという。 「病院が標的になり、子供たちがこんな経験をすることになるとは思いもしなかった」 「何の罪もない子供たちなのに。もうたくさんだと、世界に言いたい」 (英語記事 Live Page: Biden believes deal for Hamas to release hostages is close)
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