HAC、初のサーブ退役 就航21年、ラストは函館発丘珠行き
北海道エアシステム(HAC、NTH/JL)が運航する3機のサーブ340B型機のうち、最初の退役機となる3号機(登録記号JA03HC)が12月29日、ラストフライトを終えた。最終便は函館発札幌(丘珠)行きJL2748便で、満席近い乗客33人(幼児なし)を乗せて午後4時38分に到着し、1999年の就航から21年と100日で商業運航を終えた。HACの機体が退役するのは、今回が初めて。 【HACのサーブ3号機最終便】 ◆21年間運航 HACは1998年3月28日に就航。旧日本エアシステム(JAS、現JAL)と北海道による第3セクターとしてスタートした航空会社で、2002年のJAL/JAS統合により日本航空(JAL/JL、9201)のグループ会社となり、札幌市内の丘珠空港を拠点としている。サーブは1クラス36席のターボプロップ機で、1998年の就航当初から使用している。3号機は1999年4月27日に受領し、同年9月21日の函館発釧路行きHC6351便(当時はHAC/HC便名)が商業運航初便となった。 塗装は現在の鶴丸塗装が3代目。就航当初はJASの「レインボーカラー塗装」をベースとしたもの、2代目はJALグループが2002年に導入した「アーク塗装」で、3号機は2003年11月25日からこの塗装になり、鶴丸塗装は2017年4月22日からまとっている。HACによると、3号機から退役となったのは、自動車の車検に相当する「重整備」のタイミングで決まったという。 3号機の運航最終日となった29日は、函館行きJL2749便が丘珠の2番スポット(駐機場)を満席の乗客36人(幼児なし)を乗せて午後2時33分に出発し、午後3時17分に着いた。折り返しとなる最終便の丘珠行きJL2748便は午後3時54分に函館を出発して、午後4時38分に丘珠の2番スポットへ到着した。最終便運航後の総フライトサイクルは5万7053回、総飛行時間は3万5899時間35分だった。 函館行きJL2749便が出発時、丘珠空港は雪が降っており、JL2748便でサーブが戻ってくる際の天候悪化が懸念されたが、夕方になると天候が持ち直し、無事着陸した。丘珠では、展望デッキやターミナル館内など、3号機の最後を写真に収めようとする人の姿が至る所でみられた。JL2749/2748便の乗客には、3号機のイラストが描かれたエコバッグと搭乗証明書が手渡された。 ◆2021年全機退役へ 29日に退役した3号機は、年明けに整備を委託している同じくJALグループの日本エアコミューター(JAC/JC)の格納庫がある鹿児島へ向かう予定。その後は2021年春から夏までをめどに初号機(JA01HC)が、2021年末までに2号機(JA02HC)が順次退役し、日本の航空会社が運航するサーブはすべて姿を消す。 HACは今年4月12日に後継機のATR製ATR42-600型機(1クラス48席)を就航させ、サーブと同数の3機を導入する計画。2号機は今月受領したものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でATRの工場がある仏トゥールーズに駐機中となっており、2021年には丘珠へ到着する見込み。残る3号機も2021年内の受領を予定しており、置き換えを終える見通し。
Tadayuki YOSHIKAWA