反市長派が主導権維持 七尾市議会 議長・久保氏、副議長・山崎氏
七尾市議会は8日、定例会2月会議で正副議長選を行い、新議長に久保吉彦氏(64)=5期、自民=、新副議長に山崎智之氏(42)=3期、自民=を選出した。1年7カ月ぶりの「交代劇」は、両氏が所属する最大会派「灘会」が無会派議員を取り込んで多数派工作を仕掛け、第2会派「新政会」を抑え込む結果に。茶谷義隆市長と距離を置く灘会が引き続き議会の主導権を握るため、市長には難しい局面も予想される。 「市議選まで緊張状態」 選挙は灘会(7人)の杉木勉議長(63)=5期、自民、中島町浜田=、無会派の木下敬夫副議長(66)=3期、自民、三島町=の辞任に伴い行われた。 議長候補には灘会が久保氏、新政会(4人)が永崎陽氏(69)=4期、自民、白浜町=を推薦した。単記無記名の投票では、欠席の杉本忠一氏(無会派)を除いた総数17票のうち、久保氏が10票、永崎氏が6票、無効が1票だった。久保氏は「民主的かつ効率的な議会運営に務め、市政発展へ全身全霊を傾けたい」と抱負を述べた。 副議長は灘会から山崎氏、新政会から徳田正則氏(69)=1期、自民、下町=が候補となり、投票結果は山崎氏が11票、徳田氏が5票、無効1票だった。 灘会は第1会派ながら、昨年10月の市長選で支援した現職が敗れたことで「市長与党」の立場を失った。新政会や和田内幸三県議、近藤和也衆院議員が後ろ盾である茶谷市政に対抗する上では、引き続き正副議長人事を握ることが必須条件だった。 次期衆院選にらみ 当初、灘会が模索したのは昨年12月会議での交代だった。だが、会期中に杉本氏が議会に金属バットを持って現れ、現行犯逮捕される事件が起きたため先送りになったという。 2月という議長交代のタイミングについて、市議の1人は「秋までに必ず行われる衆院解散・総選挙をにらむと、杉木氏らは早く『フリーハンド』となり、連携する西田昭二衆院議員の選挙態勢の強化を急ぎたい思惑もあるのだろう」と推し量る。 「不信感しかない」 一方の新政会はこの日、投票直前まで無会派議員の切り崩しに動いたが、過半数には届かなかった。新政会の議員は灘会から事前に話がなかったことに「不信感しかない」と強調した。西田氏と和田内県議の対立を背景にした市議会保守勢力の溝は一層深まった格好で、自民関係者は「10月の市議選まではこの緊張状態が続くだろう」と見通した。 久保吉彦氏(くぼ・よしひこ) 副議長、教育民生常任委員長などを歴任。古府町。日獣医大卒。 山崎智之氏(やまざき・ともゆき) 総務企画常任委員長などを歴任。矢田新町。北九州大卒。 議員報酬1割カット 8日開かれた七尾市議会議員協議会では、新型コロナの影響を考慮し、新年度の議員報酬1割カットを決めた。期間は4月から市議選が行われる10月まで。3月会議に条例改正案を提出する。4月からの報酬額は議長が52万2千円、副議長が45万9千円、議員が43万2千円となる。 七尾市議の報酬は、若い世代が専業で議員をしやすい環境づくりなどを理由に昨年3月、議長は月額58万円、副議長は51万円、議員は48万円に引き上げられた。ただ、昨年5月から今年3月までは増額分を据え置く形で減額している。 議員協では灘会の今田勇雄会長が「元の額に戻した上で1割カットするのがいい」と述べた。新政会の永崎陽会長は和倉温泉などで苦境が続いているとして「もう少し凍結を続けてほしい」と主張した。無会派議員の意見も分かれ、杉木勉議長と欠席の杉本忠一氏を除いた16人の挙手採決で「1割カット」が10人、「凍結継続」が6人となった。 今年度は交付を見合わせた政務活動費、委員会研修費についても「議員活動を制限しないため元に戻し、慎重に使うべき」とする今田氏の提案に10人が賛成し、削減継続を求めた永崎氏の賛成6人を上回った。 〈七尾市議会・8日〉 旧徳田小譲渡を可決 ワクチン2億7千万円 【七尾市】2月会議=本会議を開き、旧徳田小の土地建物をJA能登わかば(同市)に無償譲渡する議案と、新型コロナの住民ワクチン接種にかかる一般会計補正予算案2億7616万円(累計407億3030万円)を全会一致で可決した。 旧徳田小の譲渡議案は昨年12月会議に提出されたが、反対多数で否決された。市側は再提出に当たり、全町会から同意書の提出があり、土地の境界線も確定したと説明した。ワクチンの補正予算は、3月上旬から中能登町と共同運営する住民向けコールセンターの設置費や、接種券の印刷郵送費などを含む。財源には国庫支出金2億5814万円と、中能登町からの受託事業収入1802万円を充てる。 久保吉彦氏の監査委員辞任に伴い、後任に佐藤喜典氏(69)=3期、無会派=を選任することに同意した。 市側は昨年末からの大雪で除雪費が不足したため、12月28日付で一般会計補正予算1億8千万円を専決処分したと報告した。今年度の除雪費は累計2億4890万円となった。 パトリア、11店使用申請 本会議後、茶谷義隆市長は複合施設パトリアについて、専門店エリアの空き区画が1階は3店分、3階は7店分になったと説明した。これまでに学習塾や飲食店など11店から使用許可申請があった。総合ディスカウント店「ドン・キホーテ」の交渉については「何も申し上げられる状況にない」と述べた。