自社買収問われる「大義」 セブン&アイ、沈黙の創業家
セブン&アイ・ホールディングスの創業家が計画する自社買収(MBO)を巡り「大義」を問う声が上がっている。7兆円規模の買収を提案したカナダのコンビニ大手への対抗策とされるが、創業家は公式に説明しておらず沈黙したままだ。総額9兆円程度が必要ともいわれる巨額の資金調達は難航する可能性があり、国内流通トップ企業の先行きは晴れない。 【写真】コンビニ1号店、誕生から50年 最初に売れた商品はサングラス
MBOは、セブン&アイが11月に創業家から提案を受けたことだけを公表した。創業者の次男でセブン&アイ副社長の伊藤順朗氏らが主導。ファミリーマートを傘下に持つ伊藤忠商事や大手銀行、外資系投資ファンドに水面下で出資や融資を求め、調整を続けている。 カナダのアリマンタシォン・クシュタールによる買収を防ぐのが主な目的とみられるが、協力要請を受けた側では「ただのMBOなら(創業家の)保身」「本当にセブン&アイの企業価値が高まるのか」と、巨額の資金を出すのに十分な意義や成長戦略が必要だとの声が上がる。コンビニの加盟店オーナーにどんな利益があるのか見えにくいのも課題になっている。