「どんな人でもひきこもり状態になり得る可能性がある」“ひきこもり経験者”が語るリアルな声
青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。1月16日(日)の放送では、ひきこもりの居場所「ねころんだ」を運営するフォルトネット代表の関口美智江(せきぐち・みちえ)さんと、同施設に通う桑原(くわばら)さんに、「ひきこもり」をテーマに話を伺いました。
◆国民のおよそ1%がひきこもり
“ひきこもり”とは、さまざまな要因の結果として社会的な参加を避けて、原則的に6ヵ月以上にわたり、概ね家庭に留まり続けている状態の人のこと。 つまり、学校へ行く、仕事をする、家庭以外の場で友人と親しくする、ということをせず、近所のコンビニや趣味の用事のときにだけ外出している場合でも、ほかの人と交わらない形で外出して、そのほかの時間は概ね家庭に留まっている状態が6ヵ月以上続いていれば、ひきこもり状態にあるとされています。 また、内閣府の調査によると、ひきこもり状態の人は15~39歳で約54万人、40~64歳で約61万人、計115万人前後はいると推測されており、これは国民の約1%にあたる計算になります。 そのきっかけは、いじめや病気、進学、就職、家族との関係などの場合もあれば、明確な要因が思い当たらない場合も。ですが、ひきこもり状態は決して特別なことではなく、誰しもがなり得るものだということです。 しかし、ひきこもりは単なる“甘え”“怠け”という誤った認識や偏見があるために、ひきこもり状態にある方やその家族が支援機関への相談をためらうケースも少なくありません。そこで関口さんは、そうした誤解をなくして、地域が1つになって、ひきこもり状態にある方やその家族を支援する活動をされています。 また、新潟県十日町市で、ひきこもりさんのオープンスペース「ねころんだ」の運営もしており、ここでは「子どもの不登校やひきこもりで孤独になりがちな家族の不安を分かち合い、不安や悩みの種を軽減することを目的に、経験者家族で立ち上げた会です」と説明。 そのほかにも、講師を招いて講話会を開催したり、当事者やその家族の方とイベントに行ったりすることで、「社会の人たちとのつながりをつくるための活動をしている」と言います。事前予約や料金は不要で、気軽に立ち寄って自由に過ごすことができる温かい場所です。 このような活動をしている関口さんですが、「私自身は“支援”をしているとは思っていない。この施設は、今までとは別の自分に会ってみたくなったときに立ち寄るところ。私は、ただ場所を提供して交通整理をしているおばさんですね(笑)」と笑顔をのぞかせます。 もう1人のゲストである桑原さんは、実際に「ねころんだ」に通われていて、ひきこもり状態を経験されたことがあります。桑原さんがひきこもりになったのは、小学1年生の夏休み明けから。「学校に行かなくなって、そのまま小中学校は不登校になりました。理由はいまだにわからない」と、自身の経験を語ります。 その後、2010年に就職したものの、仕事が続かず半年ほどで辞めてしまった時期が一番ひきこもりに近い状態だったそうで、「そのときは、仕事内容が事務に変わったり、車での通勤時間が長かったりしたことがきっかけでした。もともと、小学校の頃から仕事に対して不安や恐怖感がずっとありました」と語ります。 会社を辞めた後、父の実家が農家だったため、その手伝いをしながら約1年間を過ごし、そのあいだは、社会との関わりがほとんどなかったそう。その後、高校の同級生だった関口さんの息子さんからボランティア活動に誘われ、それに参加したことがきっかけで、「“社会に出る練習だ”と思いながら、少しずつ(ボランティアに)参加していた」と振り返ります。 それから1年が経過し、ボランティア活動にも少し慣れてきたころに、関口さんから短時間の仕事を紹介してもらい、仕事をしつつ「ねころんだ」に通うようになったと、これまでの経緯を話してくれました。