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八代海、大量の流木に悲鳴 漁業者「船が出せん」

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熊本日日新聞

 熊本県南部を中心に襲った豪雨によって球磨川などの河川から流れ込んだ流木やごみが、八代海に広がっている。漁業者は出漁できず、漁船や養殖いけすが壊れる被害も発生。県や国土交通省が回収を急いでいるが、量があまりに膨大なため、時間がかかりそうだ。  八代海の奥部にある宇城市不知火町の海岸では、折り重なった木の枝や冷蔵庫、大型家具などが毎日のように打ち上げられている。宇土半島の先端部に近い同市三角町の若宮海水浴場には、根こそぎ流されたとみられる約10メートルのスギの木も漂着。流木は宇土半島南部にある同市の五つの漁港にも押し寄せた。  流木はこの時季特有の南風によって宇土半島方面や上天草側に押し流されたとみられている。上天草市大矢野町維和地区の漁業男性(60)は「漁港が流木で埋まり、船が出せん」とため息をつく。流木を巻き込んでスクリューが曲がったり、養殖いけすに流木がぶつかって破損するなどの被害が出ているという。

 県は10日までに、八代海沿岸で約3万立方メートルの漂着物を確認。沿岸の市や町とともに、海岸や港にクレーン付きの台船を出すなどして撤去している。沖の漂流物は、国交省が回収する作業船や台船を出して対応しているが、宇城市の担当者は「2012年の水害に比べて数倍の量がある」と話す。遠浅な八代海では、台船が満潮前後しか作業できないことも回収を遅らせている要因だ。  県港湾課は「今後の雨で新たに流れ着いたり、潮の満ち引きで漂流物が動いたりする可能性もある。完了の見通しは立たない」と頭を抱える。  八代市や芦北、津奈木両町など八代海東岸の流木は撤去作業が比較的早く進みつつある。しかし、八代漁協組合長の瀧川和徳さん(77)=同市=は「網を張るため漁場に立てた竹も、航路の目印になる浮具も押し流された。流木が引っ掛からないか心配で、しばらくは定置網漁もできん」と問題の長期化を懸念する。  アナジャコ(シャク)やアサリなど、干潟での漁も盛んな八代海。瀧川さんは環境の変化も心配する。「海の底が濁流で削られたり、土砂がたまったりして様変わりしとるだろう。コロナ禍で魚の価格が下がっている中、魚そのものが取れなくなれば、どうすればいいのか」(内田秀夫、松冨浩之、山本文子、益田大也)

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