小芝風花「実は今“大人っぽくなろう”キャンペーン中なんです」
母と二人三脚のスケート生活。夢はオリンピックでした。 ――小芝さんについて事前にいろいろ調べさせていただいたのですが、まるで朝ドラのヒロインみたいな経歴だなと…! もともとは、フィギュアスケートの選手だったんですよね。 そうなんです。小学3年生から中学2年までの5年間習っていました。ずっと母と二人三脚でやってきたので、母のことは親というよりも“戦友”って思っています。 ――当時の目標はオリンピック? 最初はそうでした。でも、習い始めてから数年経つと自分の実力がわかってきたので、「とりあえず大学まで現役で頑張って、そのあとはアイスショーに出演させてもらって、最終的にはコーチになりたい」って、めちゃめちゃしっかりした将来設計を立てていました。なので、まさかお芝居をしているとは…思いもよらなかったです。 ――女優さんに憧れたことは? 考えたこともなかったですね。当時はスケートの練習ばかりしていてテレビを全然見ていなかったので、まず芸能人の方がよくわからなかったんです。だから、16歳の時に初めて『魔女の宅急便』で映画デビューさせていただいた時も、宮沢りえさんが母親役だったのですが「お母さんよろしくお願いします!」みたいな感じで (笑) 。今思うと、とてもすごいことだったんですよね。 ――そんな小芝さんが、今では女優として最前線を走っている。元アスリートということで、負けず嫌いな面もあったりしますか? 負けず嫌いだと思います。スケートを習っている時から、“内心メラメラタイプ”というか。「あ、今あの子休んでる…私はその隙に1本でも多くジャンプの練習をして次の試合では勝つぞ!」みたいな感じで、黙々と練習しているような子でした (笑) 。その負けん気はお芝居にも生きている気がしています。 ――ヒロインを演じた『美食探偵明智五郎』では、運転シーンに備えてわざわざ免許を取りにいったというエピソードが印象的でした。 でも、実際に運転するのは一度だけでした (笑) 。ただ最近、役作りに対しては悩むことが多くて、『美食~』では免許を取ることが役作りに繋がりましたけど、たとえば『モコミ』だと、実際にモノの気持ちがわかるようにはならないじゃないですか。だからこそ台本を読んで、登場人物の気持ちをいろいろ想像するのですが、インタビューで「役作りは何をしてますか?」と聞かれると、返答に困ってしまって。個人的には、台本を読むことも立派な役作りだと思うんですけど…。 ――実際、記事になるのは免許エピソードのほうなんですよね。それは書く側の事情なので、本当にすみません…。 いえいえ、こちらこそ愚痴を言ってすみません! 私のお悩み相談になってしまいました (笑) 。 ――他に悩みはありますか? (笑) 私、本当に個性がないんです。ビジュアルも普通だし、性格も当たり障りのない感じだと自分でも思うのですが、だからこそ最近は“コメディエンヌ”と言っていただけることがすごくありがたくて。ただ、自分にとってはどの役もまったく違うものなのに、見ている人たちに「またコメディやってる」「また同じような役やってるよ」と思われてしまうのは悔しいので、もっといろいろ勉強しなきゃいけないなとは思っています。 ――逆に、どんな時がいちばん嬉しいですか? やっぱり、2回目に声をかけていただいた時ですね。以前ご一緒させていただいた監督やプロデューサーの方から「前回はこういう役だったから、今回は全然違う役を見てみたい」と言っていただくことが最近増えてきたんです。10代の頃は、同じような役柄を任されることが悩みの一つでもあったのですが、「また小芝と一緒にお仕事したい」と思ってもらえるように全力で頑張ってきたことが、少しずつ報われてきている気がします。私にとっては嬉しい限りです (笑) 。 ――今後、演じてみたい役は? 怖い役をやってみたいです。ちょっと猟奇的な役とか、サイコパスみたいな。でも、私のこの見た目のせいか、今までそういう役のお話が一度もなくて。そこはギャップで…どうでしょうか? (と、横目でマネージャーさんにアピール) 大竹しのぶさんや寺島しのぶさんみたいな、見ていてゾクゾクするお芝居を研究中です。あとは、趣味でギターを練習しているので、ギター役…じゃなかった、ギターを弾くような役にも挑戦してみたいです。お仕事ならレッスンもつけてもらえると思うので、「もっと上手になりたい」という私欲もあるのですが (笑) 。 ――もうすぐ24歳ですが、目標は。 自分の意見や考えを周りの人にちゃんと伝えること。今までは怖くてできなかったんです。「嫌われちゃうかな」とか「生意気って思われたらどうしよう」ということが気になってしまって。でも、たとえ間違っていても最初から伝えることを諦めてしまったら状況は変わらないですよね。一度きりの自分の人生だし、全部が全部「これが私だ!」とはできないけれど、少しでも自分の行きたい道を進んでいけるようにできたらなと思います。それから……素敵なレディになりたいです! ――素敵なレディとは? それがわからなくて…。でも女優として、そろそろ大人の色気も欲しいじゃないですか。なので、いろんな現場で男性スタッフの方に「どういうところに色気を感じますか?」とリサーチしているのですが、まだ答えは出ません。 ――でも最近、とても綺麗になりましたよね? 本当ですか? ホントに! ? 実は今、“大人っぽくなろう”キャンペーン中なんです。髪色を明るくしたり、眉毛の色をちょっと抜いたり、ダイエットしたり、まずは見た目から頑張ろうと思って。少しでも伝わったみたいでよかったです。あぁ、嬉しい…。 ――そんなに喜ばれるとは (笑) 。 「黙ってればいいのにね」とは、よく言われます (笑) 。大人の女性はきっと自分から「努力した」なんてアピールしないはずなので。でも言いたいじゃないですか、だって頑張ったんだもん…! こしば・ふうか 1997年4月16日生まれ、大阪府出身。14歳の時に「ガールズオーディション2011」でグランプリを受賞。実写版映画『魔女の宅急便』の主人公キキ役や、NHKの連続テレビ小説『あさが来た』のヒロインの娘・千代役などで注目を集める。NHKラジオ第2放送『おしゃべりな古典教室』にレギュラー出演中。 シャツ¥38,000 スカート¥56,000 (共にメゾン ミハラヤスヒロ TEL:03-5770-3291) その他はスタイリスト私物 『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』で小芝さんが演じるのは、感情を持たないとされているモノの気持ちがわかってしまうという繊細な感覚の持ち主、清水萌子美。他人と関わりながら萌子美が成長していく姿とともに、バラバラだった家族の再生を描いていく。共演者には工藤阿須加さんほか。テレビ朝日系にて毎週土曜23時~放送。 ※『anan』2021年2月3日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・成田佳代 ヘア&メイク・竹下あゆみ インタビュー、文・瀬尾麻美 (by anan編集部)