堺正章 声帯の形を変えれば声が出る これぞベテランの妙技
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> 芸歴60年超のベテランの「妙技」を堺正章(78)に見ました。 12月3、4日の両日、東京・南青山のブルーノート東京で、7度目となる恒例ステージ「プレミアムライブ2024」を開催。2日目の開演前に取材に応じた際のことです。 初日の昼夜2公演でのどを酷使し、声がかれていることは事前に知っていました。ですが「Monkey Magic」と「忘れもの」の歌唱を聞いていると「どこが?」と不思議に思うほど何ともないのです。 それが質疑応答が始まり、普通の会話になった途端にガラガラ声というか、かすれ声になりました。正直「さっきの歌唱は何だったの? 口パクじゃないよな…」と思ったほど。堺によると、声帯の動かし方である程度の声が出るというのです。「正面を向いて歌うだけじゃなくて、ちょっと声帯の形を変えるとどこかに出る場所があるんですよ。今日はそれで歌いました」。 種明かしを聞いても半信半疑。でも、この説明をしている堺の声は枯れているのです。ほんと不思議。まさに妙技です! 同所でのライブは70歳でスタートしました。80歳までは軽くいけますねとの指摘に「始めた時の気力は今もあるけれど、体力はないかな…」とこぼしつつ「呼ばれればやりますよ。ただロックンロール系の歌は体力的に大変。80歳の声を聞いても歌えるかどうか。不安でもあり楽しみでもある」と続けました。「自分を奮い立たせてやるっていうのは、こういう世界の宿命的なところがありますからね。テンションもそう。ステージに上がる時にある程度上げて、まずはお客さまを迎えなきゃいけないんです」。 16歳で「ザ・スパイダース」に加入し、芸能界の第一線で長年活躍し続けてきた巨匠です。培ってきた歌唱技術や、変わらぬ「お客さま」ファーストの姿勢は紛れもなく「星3つ」でした。【松本久】