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糖質オフの効果は19世紀から知られていた! 圧巻の糖質オフ年代記

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糖尿病を患った文豪・夏目漱石。

バンティング氏の本が出た頃、日本はまだ幕末だったが、その後近代化して豊かになった日本では肥満や糖尿病に悩まされる人も出てきた。その一人が文豪・夏目漱石である。 漱石は1916年に糖尿病と診断されてしまい、医師の薦めで「厳重食餌」と呼ばれる食事療法を始める。厳重食餌では糖質を控える代わりに、肉類、卵、バター、肝油、豆腐、おから、糖質が5%以下の野菜などを摂る。現代の糖質制限食にほかならない。厳重食餌で漱石の糖尿病はどうやら改善したようだ。 このように肥満や糖尿病の改善に、糖質制限食が有効なのは昔からわかっていた。そうした事実がすっかり忘れられるのは、皮肉にも1921年のインスリンの発見がきっかけ。膵臓が出すインスリンは細胞に血糖を取り込ませて血糖値を下げる。

フレデリック・バンティングがインスリンを発見。

糖尿病とは通常、2型糖尿病を指す。遺伝的な背景に加えて、糖質過多の食生活や運動不足といった悪しき生活習慣で、インスリンの効き目が悪くなって発症するもの。日本人の糖尿病の95%以上は2型糖尿病だ。残りの5%未満は1型糖尿病。自己免疫疾患などでインスリンを作る膵臓の細胞が破壊され、高い血糖値が下がらなくなる病気だ。 インスリンが発見されるまで、1型糖尿病は余命半年から1年という難病だった。インスリンが出ないと細胞は血糖が取り込めないし、血糖値も下がらないからだ。ところが、インスリンが発見された後、糖質を摂ってもインスリン注射をすれば細胞は血糖を取り込めるし、血糖値も下がるから安全。かくて糖質制限食は長きにわたり下火になる。 インスリンの発見は1型糖尿病患者の福音だったが、大半を占める2型糖尿病患者に、糖質制限食を忘れさせる出来事となった。

糖質制限の歴史(2)1972~1998年

『アトキンス博士のダイエット・レボリューション』のヒット。 糖質制限食が再び表舞台に現れてくるのは、70年代のアメリカ。 心臓病医ロバート・アトキンス博士は100kgあった自らの減量体験を基に1日の糖質摂取を20gまでにする糖質制限食を提唱。72年に世に問うた『アトキンス博士のダイエット・レボリューション』のヒットは糖質制限食の流行の起爆剤となる。 アトキンスが参考にしたのは、40年代にアメリカを代表する企業デュポン社でアルフレッド・ペニントンという医師が試したダイエット法。ペニントンは過体重の社員にほぼ肉ばかりの低糖質食を食べさせ、1週間当たり平均1kgという目覚ましい減量に成功したのである。ペニントンは1食当たりの糖質は20g以内というルールを設けており、それがアトキンスダイエットのベースとなる。 逆風も吹いた。契機となったのは、50年代にアメリカのアンセル・キース博士らが、肉類などの飽和脂肪酸が血中のコレステロール値を上げて心臓病の原因となると糾弾したこと。60~80年代にはアメリカでは脂質悪玉説が一世を風靡する。 エネルギー源となる3大栄養素のうち、脂質を減らそうとすると、糖質の摂取を増やすしかない。タンパク源にも脂質は入っているから、消去法で糖質を増やすほかないのだ。 だが、脂質悪玉説を信じて脂質を減らし、糖質を増やした結果、アメリカの肥満率は上昇し続けたし、心臓病も思ったように減らなかった。のちにキース博士は、自説に都合のいいデータだけを選んで使ったと厳しく糾弾されている。

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