発達障害と精神疾患は別ものです【40代50代・「大人の発達障害」を理解する②】
発達障害には、本人の努力やまわりの理解で上手にやっている人から、生活に支障が出る人まで、特性の表れ方はさまざまだ。中には、うつ病や愛着障害、強迫症など、混同しやすい精神疾患もあり、その両方を併発している場合もある。こうした間違えやすい精神疾患について、医学博士で発達障害を専門とする司馬理英子さんに伺った。
発達障害から二次的にうつ病になることも!
例えばがんであれば、それがステージⅡ期であるなど決まった診断基準がある。しかし、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)といった発達障害には、その明確な基準がない。たとえ症状が軽くても、生活をするうえで本人やまわりの人がとても困っているのなら、それは対処する必要があるのだ。 ※詳しくは第1回<「大人の発達障害」が増えている理由、そして治療方法は?>参照。 「こうした発達障害は時に、うつ病や愛着障害、強迫症といった、ほかの精神疾患と混同されることもあり、中には実際に併発しているケースもあります。 “うつ病”と発達障害とは密接な関係が見られます。うつ病はやる気や喜びが極端に落ち込み、集中力が続かない、表情が乏しいなどの症状があり、食欲や睡眠にも影響のある病気です。その引き金になるのが強いストレスといわれています。 発達障害を持っている人はストレスを受けやすい傾向があります。努力しているのに、まわりから叱られることが多く、精神をすり減らしてしまいがちです。そうしたストレスでうつ病を発症する人もいます。 また、うつ病になると何もやる気が起きずに、ASDの人に見られるような引きこもり状態になる人もいます。その違いはわかりづらく、両方を併せ持っているケースもあります。 “双極性障害(そううつ病)”はそう状態とうつ状態とが周期的に現れる病気です。そう状態のときは、エネルギッシュで落ち着きがなく、活動的でADHDの『多動・衝動型』に似た症状に。うつ状態のときは何もする気が起こらなくなります」(司馬理英子先生)