古本屋さんで宝探し 古書店を味わいつくす5つのポイント
本との出会いをたくさんもたらしてくれる本屋さん。大都市のターミナル駅にあるような大型書店もあれば、住宅街の駅前に昔からあるような小さな本屋さんもある。ロードサイドのチェーン店が馴染みという人もいれば、こだわりの古書店を行きつけにしている人もいるでしょう。書店や本に関わる分野を領域とするライター、和氣正幸(わき・まさゆき)さんに、古書店の楽しみ方を教えてもらいました。 * * * ■1 古書店ならではの小さなルールを知る 古書店にある本の価格は、当然本に印刷されているものではありません。最後のページに鉛筆書きされているか、手製のスリップがはさまれていることが多いので、そこを確認しましょう。「古い本は劣化しやすいのでていねいに扱う。狭い店が多いのでリュックを背負っているときは、前に持ち替える、帯も本の価値を決めることがあるので、差し戻すときに破らないよう気をつかう。こんなマナーも意識するといいですね」と和氣さん。 ■2 装丁に注目してみる 新刊書店には、基本的には今、版元で取り扱っている本しか並びませんが、古書店には時代を問わず、過去の本が層厚く並びます。「昔の本の装丁や挿画は今見るとデザインがおもしろく、ビジュアルを見る楽しさがあります。装丁に注目しながら棚を見ると、興味が広がります。とくに詩集棚は、凝った装丁の私家本が見つかるのでおすすめ。ほかには、アート・写真集棚、戦前棚、児童書棚あたりが狙い目です」 ■3 100円均一コーナーで掘り出し物を探す たいていの古書店には、店頭など入り口付近に100円均一のような、格安の本が並ぶコーナーがあります。「自分にとってのお宝本を安く見つけるチャンスなので、必ずチェックを」。和氣さんは、そのときどきに気になっているキーワードを念頭に、棚をくまなくチェックするのだそう。「一冊見つけて、それを手に持って入店すると、古本屋さんに対して感じがちな入りにくさも軽減できます。古書店ビギナーはぜひ、ここから」 ■4 古本は一期一会。即買いが基本 古書店の本は流れていくもの。新刊と違い、欠品したからといって簡単に補充ができるわけではないので、出会ったときが、買いどきです。「人気店は、覗くたびに品揃えが変わっていくので、次はもう見つからないということも。また同じ店を定期的に覗いていると、古書の流れが把握できて、これぞという本の入荷に気づけるようになるので、即決しやすくなります」 ■5 古本ならではのストーリーに注目する 装丁が気になって和氣さんが本を開いたら、この本を紹介する新聞記事の切り抜きを発見! 「『痕跡本(こんせきぼん)』と呼ぶ人もいるのですが、こういう発見は、古書店めぐりのおもしろさですよね。書き込みや線引きは、古書としての価値を下げてしまうのですが、元の持ち主の読書をたどることができ、自分とは違う価値観を知るおもしろさがあります。蔵書印などもぜひ注目してみてください」 ■『NHK趣味どきっ!こんな一冊に出会いたい 本の道しるべ』より
NHK出版