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ネットいじめによる自殺は言論規制では止められない

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Japan In-depth

【まとめ】 ・ネットいじめに、政府が制度改正を含めた対応を始める。 ・自殺をした人の中には自分を愛せないことが根本に存在してた例も。 ・社会全体の子育てに対する態度や意識の変革が求められる。

・社会全体の子育てに対する態度や意識の変革が求められる。 女子プロレスラーの木村花さん(享年22)がソーシャルメディア上で匿名アカウントによる誹謗中傷を受けたことを苦に5月23日に自殺した問題で、高市早苗総務相(59)は5月26日、「匿名発信者の特定を容易にするなど、制度改正を含めた対応を、スピード感を持ってやっていきたい」と述べ、言論規制の議論に踏み込んだ。 高市大臣は2016年2月に、「放送局が政治的な公平性を欠く報道を繰り返した」と政府が判断した場合に、電波停止を命じる可能性を示唆するなど、言論統制に積極的と解釈されかねない発言を重ねており、議論を呼びそうだ。(なお、高市氏は後に、「電波を止めるといった発言をしたことはない」と否定している。) 一方、弁護士で、国際人権NGOである「ヒューマンライツ・ナウ」の事務局長である伊藤和子氏(54)も5月24日、「SNSの言葉の暴力は命を奪う」として、欧米の、特に女性に対するヘイトスピーチ規制の取り組みに触れ、「芸能人・著名人を守る仕組みを」「警察は罪の大きさに相応しい対応を」と訴えた。同じく言論規制の方向性が志向されている。 こうした中、フェイスブック日本法人やLINEなどSNS企業が参加する「ソーシャルメディア利用環境整備機構」は5月26日に緊急声明を発表し、「名誉棄損や侮辱を意図する投稿を禁止し、違反者のサービス利用を禁止する」「捜査や法令に基づく情報開示に適切に対応する」との立場を明確にしており、ネット上の言論規制が強まる可能性がある。 また、花さんが所属していた女子プロ団体「スターダム」のエグゼクティブプロデューサーであるロッシー小川氏(63)は「遺族を無視して独走できない」としつつも、プロレスラーの長与千種氏(55)ら関係者と話し合い、「そういう(誹謗中傷をした者に対する訴訟の)話にもなって、みんなでやった方がいいということになった」と明かし、法的措置を考えていると示唆した。 花さんは、自身が出演していたリアリティショーの架空の設定でヒール役を好演しただけであるにもかかわらず、それを現実の人格のように捉え、「やめろ」「死ね」「消えろ」「気分悪い」などと彼女の存在そのものを否定する書き込みがなされた。こうした者たちは言い訳ができず、厳しい社会的な制裁が相当であろう。 だが、花さんの死を奇貨に、言論の自由を統制する動きには注意が必要だ。リアリティー番組製作の当事者のひとつであるフジテレビに所属する三田友梨佳アナウンサー(33)が指摘するように、「SNSだけに全ての原因があるとは言えない」のである。 さらに、言論規制や訴訟で第2第3の花さんのような自殺を防げるかと言えば、答えは「否」だ。ネットいじめは直接の自殺の引き金になったかも知れないが、根源的な問題は法が届かないより深い部分に存在し、それは社会全体の子育てに対する態度を改めなければ解決できないからだ。

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