【久保建英出場】ヘタフェ対アラベス戦「久保とアレニャ2枚替え」の不穏兆候
【ラ・リーガ ヘタフェvsアラベス 2021年1月31日(日本時間22:00キックオフ)】 【動画】久保が出場したヘタフェ対アラベスのダイジェスト 久保建英はこの日も先発出場したが、試合が始まるとヘタフェ全体がこれまでとは違っていた。 最初は、ビルバオ戦でマークに苦しんでいた久保に「もっと中央でプレーするように」とハーフタイムに伝えたというホセ・ボルダラス監督がこの日もそう指示しているのかと思えたが、どうやらそういうことではなさそうだった。 4-2-3-1の右アタッカー、というのが久保の定位置になっていたが、この日のポジションは2シャドーの右だった。ヘタフェは3-4-2-1で試合に臨んでいたのだ。これまで2列目でトリオだったカルレス・アレニャは久保と同じくシャドーとして、マルク・ククレジャは左のウイングバックとしてプレーした。 このシステム変更には、ビルバオ戦で悪かった部分を一気に改善しよう、という狙いがあった。 久保とアレニャに攻撃を任せるならば、たしかにその2人で2シャドーを組んだ方がわかりやすい。それぞれにマークがつき、ボールを持つ際にはさらにもう1人がディフェンスに加わるとしても、近い位置でプレーすれば1vs2ではなく2vs3の形で対処しやすくなるし、守備の負担も、シャドーとしてファーストディフェンダーにさえなれば、自陣深くまで毎回戻る必要はなくなる。 汗かき役はウイングバックが担い、久保とアレニャは攻撃で力を発揮しやすくなる。さらに、3人のセンターバックならばペナルティエリア内での守備も流動的ではなくて済む。自分たちの強みをより強くすることと、弱みは見せないようにすることとを両立させるものだ。 そして、この最大の恩恵を受けるのは久保のはずだった。
このシステムで最も重要なことは、ウイングバックのククレジャとダミアン・スアレスが1列上がってプレーすれば2列目が4人になることだった。これまでの3人よりも1人多くなることで、久保には自由に動き回る権利が与えられた。これまでの試合のように右サイドに大きく開くことをしても一向に構わないし、アレニャよりも左を走っていくことをするのも構わなかった。 しかも、ボランチのマウロ・アランバリが久保をサポートするように動いた。久保が基本となるポジションから離れてプレーしようとする時にはそこを埋め、久保がボールを持つ場合には近寄って数的不利にならないようにした。 守備の負担が減り、自由に動けて、アレニャもアランバリも近くにいてくれる。 それはつまり、だから相手を崩してくれ、という期待の大きさの表れだ。そして実際に、より結果を出しやすい環境を用意してくれようとした。 しかし、いきなりのシステム変更はそう単純に話が進まなかった。そもそものきっかけだった“久保とアレニャを近い位置でプレーさせれば”という部分が、久保に自由が与えられたことで距離が遠くなってしまってなかなか実現しなかったことに加え、アランバリは久保の行き先と思い切り重なってしまい逆効果になっていることが多かった。 79分、結果どころかインパクトさえ残せないまま、久保とアレニャは同時にピッチを去った。0-0の状態で攻撃の中心選手を2人揃って下げた、というのは、新しい試みが上手くいかなかった、という判断をボルダラス監督が下したということだ。