福祉施設、忘年会、観光地… 我慢の冬 影響に身構え 新型コロナ 群馬県内の警戒度3に引き上げ
「第3波」とされる新型コロナウイルス感染症の拡大に群馬県内各業界から不安の声が上がっている。群馬県が28日、独自の警戒度を2から3へ引き上げたことを受け、新規感染者が増えている東毛地域では福祉施設の利用者や関係者が緊張感を一層強めた。忘年会シーズンを前にキャンセルが相次ぐ飲食店は感染動向に気をもみ、客足が戻りつつあった観光地は今後の影響の広がりを懸念した。
◎クラスター発生防止へ 各地で高まる緊張感
「もっと早く警戒度を引き上げてよかった。東毛地域の感染者は増えてきていた」。大泉町の男性(66)は、太田市の特別養護老人ホームに入所する伯母の身を案じる。重症化しやすい高齢者が多いだけに、クラスター(感染者集団)の発生を何より恐れる。
施設側は「職員がウイルスを持ち込むわけにいかない。万一に備えてクラスター発生時のマニュアルを読み返す」とし、基本的な対策をもう一度徹底する。
警戒度3となり、高齢者施設は対面での面会禁止を求められている。この施設は、訪れた家族と別室の利用者をタブレット端末で結ぶオンライン面会を既に導入している。今後も継続できる道を模索するという。
県は現時点で、政府の「Go Toキャンペーン」のトラベル、イートとも制限を設けていないが、飲食店は感染拡大のあおりを受けている。
前橋市で居酒屋など複数の飲食店を営む男性は「営業時間短縮の要請がいつ出るかと身構えている」と明かす。例年は11月から忘年会の予約が次々と入るが、この2週間で100人分近くのキャンセルがあった。「本来は書き入れ時。我慢の年末になると思う」
高崎市で居酒屋を営む男性(59)も「キャンセルが増えてきた。年末年始も大人数の宴会は難しそう」とこぼす。客足の回復を感じる中での打撃に「持ち帰りや配達に力を入れたい」と前を向いた。
伊香保温泉(渋川市)の観光関係者は、市民限定の宿泊費補助や近場を周遊するバスツアーなどの策に手応えを感じていたという。