リアルとオンラインが共存する職場へ ユニバーサル ミュージックが創るニューノーマルでの働き方(ユニバーサル ミュージック合同会社 人事総務本部 人事部 部長 齋藤 洋子さん)
インターネットの発展にあわせて、社会は目まぐるしく変化しています。現金は電子マネーに、情報収集はテレビからSNSに、そして音楽はCDからストリーミングに……。世界最大の音楽企業ユニバーサル ミュージック グループの日本法人である、大手レコード会社のユニバーサル ミュージック合同会社もその影響を大きく受けていますが、過渡期を生き抜くため、ここ数年は人事制度改革や組織風土改革に注力しています。さらに2020年10月には、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、新たな働き方となる「WORKSTYLE 3.0」を発表。その動向が注目を集めています。人事部長の齋藤洋子さんに、同社が変貌を遂げてきた全容と、これからの課題についてうかがいました。
過渡期を生き抜く、多様な人材が必要だった
――まず、貴社が社員に求める人物像についてお聞かせいただけますか。 今、レコード会社は「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の過渡期にあります。CDは今でも売上の大半を占めていますが、デジタルを絡めたビジネスも同時に創出していかなければなりません。音楽の聴き方も、「レコード→CD→ダウンロード→ストリーミング」と変遷しています。そのため、ゼロから物事を構築できてイノベーションを起こせる人、というのが求める人物像です。 ――貴社の社員の方々の「ユニバーサル ミュージックらしさ」は、どんなところにあると思われますか。 ユニバーサル ミュージックには、さまざまなバックグラウンドを持った人が集まっています。業界経験者だけでなく、金融、商社、広告代理店、メーカー、さらに飲食店や個人事業主など。イノベーションには多様性のある風土が欠かせないので、ダイバーシティ&インクルージョンは当社が大切にしていることの一つです。 また、「世の中に感動を届けたい」「こんなアーティストを生み出したい」といった、音楽やエンタメへの愛に溢れている人が多いですね。最近はデジタルの知見やデータ分析ができる人材も増えていますが、論理的で戦略的な思考力に加えて、何かに情熱を燃やしている人が「ユニバーサル ミュージックらしい人」といえると思います。実際に、社内では「情熱」や「愛」といった言葉が照れることなく、普通に交わされています。 ――採用は、中途採用が中心なのでしょうか。 そうですね。新卒採用はここ数年実施していませんが、学生のインターンシップは受け入れていて、そこから採用につながることもあります。今年は2名の新卒者が入社しました。 これまで当社は、音楽が好きな学生からの人気が高かったのですが、最近は「海外展開をしたい」「デジタルで仕掛けたい」といった「音楽×英語」「音楽×デジタル」といった切り口で門を叩く学生が増えています。私たちも、彼らに助けられているところは大きいですね。デジタルプロモーションを展開したり、TikTokのようなプラットフォームでコンテンツを作ったりするときには、やはりデジタルネイティブならではの発想が光ります。Win-winな関係ができています。
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