iDeCoの一括受け取りは要注意! 退職所得控除を最大限使うために注意してほしいこと
退職金は勤務年数、iDeCoは加入年数に応じて、退職所得控除の額が決まりますが、それぞれ退職所得控除の枠を使うためには、受け取り方の順番が重要になってきます。今回、退職所得控除を最大限活用するにはどうすればいいかをFPが解説します。 【画像】定年間際の59歳会社員が退職金の手取りを増やす方法は?
iDecoの様々な税制優遇についておさらい
iDeCoには大きく分けて3つの税制優遇措置があります。
①拠出時(掛金の支払い時)
加入者が拠出した掛金は全額所得控除となります。 例えば、課税所得500万の人が毎月iDeCoに2万円拠出したとします。この場合、課税所得500万円の所得税率20%と住民税10%の合計30%である72000円(iDeCoの掛金2万×12ヶ月×30%)が、所得控除として軽減されることになります。つまり、24万円の積立をしたあとに、72000円が戻ってくるため、実質168000円の支払いで24万円分積立てをしたことと同じになります。 これは、もし投資商品を選ばず元本保証の商品だったとしても毎年30%お金が増えていることと同じになります。所得税率は所得に応じて5%~45%の7段階に区別されているため、所得が高ければ高いほど、税制優遇が大きくなる仕組みとなります。
②運用時
運用中の運用益は非課税となります。 通常投資で得た利益は(NISA制度を用いた場合は除く)約20%分離課税のため毎年利益が出るごとに課税されます。しかし、iDeCoでは運用中の利益は非課税となり税金を払わなくて済みます。
③受け取る時
iDeCoを受け取る時は、受け取り方によって2種類の税制優遇があります。公的年金と同じように、年金形式で毎月一定の額を受け取る場合は、所得種類は雑所得となり、公的年金等控除を受けることができます。 もう一つはiDeCoで運用したお金を一括で受け取る場合です。この場合は退職所得の扱いとなるため、退職所得控除を利用することができます。退職所得控除は勤続年数(iDeCoの場合は加入年数)に応じて控除額が変わります。 金融機関によってはこれらを併用(年金形式と一括)することもできます。なおiDeCoの受け取りは60歳から可能で、原則60歳までは引き出しはできません。また受け取り手続きは60歳から75歳までの間に行わないといけません。 今回は一括でiDeCoを受け取る場合の注意点について説明していきます。 【退職所得控除の求め方】 ・勤続(加入)年数20年以下の退職所得控除の計算式 40万円×勤続(加入)年数 ・勤続(加入)年数20年超の退職所得控除の計算式 800万円+70万円×(勤続(加入)年数-20年)