沖縄本島に生息しないはずが…国頭村でシカまた目撃 鉄柵を越え県道を駆ける 遭遇の大学院生、人への被害を危惧
【国頭】沖縄本島に生息しないはずの雄のシカ1頭が22日早朝、国頭村楚洲区と奥区で目撃された。野生生物が事故に遭う「ロードキル」について調査していた琉球大学大学院生の丸田裕介さん(23)が遭遇した。10月下旬に同村謝敷の県道2号などで目撃されたシカと同じ個体の可能性がある。 【動画】まだ暗い早朝、沖縄県道を駆けるシカ 22日午前4時45分ごろ、丸田さんが楚洲区の県道70号を車で北上していると、シカが道路脇の鉄柵を乗り越えて道に飛び出してきたという。発見場所から約2・8キロ先の奥小学校前の畑近くまで移動し、姿を消した。 丸田さんは警察に通報。奥区は同日、住民に対しシカを発見しても近づかないよう放送で注意喚起した。 動物行動学や生態学を研究している丸田さんは、シカの様子について「車をあまり警戒していなかった」と人間慣れしている可能性を指摘。11月は繁殖期のため雄は攻撃的になるとし「今回いたのは森林内ではなく、宅地や農地など人の生活圏内。人的被害が起きないか」と心配した。 シカの目撃を巡っては、識者から繁殖による世界自然遺産の森の生態系への影響を懸念する声が上がっている。(北部報道部・比嘉海人)