湯釜囲み再生願う 国重要無形民俗文化財 遠山の霜月祭り始まる【長野県飯田市】
長野県飯田市の遠山郷(上村、南信濃地区)に伝わる湯立て神楽「遠山の霜月祭り」(国重要無形民俗文化財)が7日、南信濃木沢小道木の熊野神社と上村中郷の正八幡宮を皮切りに始まった。湯釜を囲み、やおよろずの神々を迎えて再生を祈るとされる湯立て神楽に興じる祭りで、今年は21日まで計8神社で繰り広げられる。 熊野神社では、大てんぐの面を着けた禰宜(ねぎ)の鎌倉博登司さんが煮えたぎる湯を素手で周囲にはねかけ、1年の邪気を払った。午後6時半過ぎからは、面を着けた氏子らが社殿内に登場し、舞を披露。4人の氏子が湯釜の周囲を荒々しく跳びはね、最後は無理やり拝殿に押し込まれる「四面」や、氏子や有志らの威勢のいい神楽歌に笛や太鼓の音を響かせた。 同神社の氏子である小道木と川合地区の世帯数は13戸。高齢化が進む中、2022年から開催時間を見直し、午後9時に全ての行程が終了するようにした。地区内外の有志でつくる「木沢地区霜月祭り野郎会」や地元中学生も祭りに参加した。 副禰宜の平澤一也さん(41)は「無事終えられてほっとしている。大勢の力に支えられた」と感謝を述べ、「神様や氏子、観客の皆さんに楽しんでいただきたい一心でやっている。参加して分かる楽しさや難しさなど現状を知ってもらい、来年以降もいかに人を巻き込んで行っていくかを考えていきたい」と話していた。