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そもそも、なぜ安倍官邸に近い河井夫妻を起訴できたのか? 東京地検「黒川外し」のカラクリ

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文春オンライン

「東京地検特捜部は7月8日、公職選挙法違反(買収)の罪で前法相の河井克行衆院議員と妻の案里参院議員を起訴しました。特捜部は2010年1月の石川知裕衆院議員の逮捕・起訴後、およそ10年にわたってバッジ(国会議員)には手が届きませんでしたが、現特捜部長の森本宏氏は在任中に3人の国会議員を逮捕・起訴したのです」 【画像】“失言の美魔女”の後ろに鎮座しているのが……  ある検察担当記者は、こう語る。克行前法相は昨年3~8月、案里議員が初出馬した参院選で、94人に票の取りまとめを依頼するなどして計約2570万円を渡したとして、また案里議員は、うち5人に対する170万円の配布について共謀したとして、特捜部に逮捕されていた。 「平成に入って以降、元職も含めて国会議員を3人以上、逮捕・起訴した特捜部長はほかに、4人を逮捕・起訴して検事総長にまで上り詰めた笠間治雄氏しかいません。2010年の大阪地検特捜部証拠改竄事件と、小沢一郎元民主党代表の秘書だった石川議員の取り調べについて東京地検特捜部の検事が『虚偽』の内容の捜査報告書を作成していたとして、2012年に佐久間達哉元特捜部長らが処分された問題の影響で『仮死状態』にあった特捜検察を、森本氏が完全に復活させたのです」(同前)  5日後に国会召集を控えた今年1月15日、広島地検は案里議員の車上運動員に違法な報酬を支払った疑いで河井夫妻の地元事務所などを家宅捜索。夫妻宅から現金の配布先とみられるリストを押収した。これが証拠となって、捜査は本格化したとされる。

稲田・堺・落合ラインが広島地検を動かした。そうすれば……

「捜査は当初、7月中の『勇退』が決まった稲田伸夫検事総長、元東京地検特捜部長の堺徹次長検事、元特捜部副部長の落合義和最高検刑事部長のラインが主導する形で、現場の広島地検を動かして行われていました。  河井夫妻などについて捜査をさせたくない首相官邸は昨年末、官邸に近い黒川弘務前東京高検検事長を検事総長に据えるため、法務事務次官を通じて稲田氏に退任を求めましたが、拒否されたことから、官邸側は1月31日、黒川氏の定年延長を強引に閣議決定したのです。  このため東京地検特捜部を本格投入すれば、上級庁の東京高検トップを務める黒川氏が決裁ラインに入り、捜査を『邪魔』されてしまいかねないので、最高検主導で広島高検傘下の広島地検を、動かしていたのです。言うなれば『黒川外し』です。  3月に入ってからは、広島地検に応援の形で東京地検特捜部の検事を投入。3月3日には、議員会館の事務所の捜索に乗り出しました。国会会期中には国会議員は逮捕されないという不逮捕特権の『例外』である逮捕許諾請求も一時は検討していたようですが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、逮捕許諾手続きで国会審議を停滞させることはできないと判断。5月に週刊文春の賭けマージャン報道で黒川氏が辞職したことで、特捜部が主体的に動けるようになり、会期終了直後の逮捕となったのです」(同前)  水面下で特捜部を動かしながら、表向きは広島地検を使って河井夫妻の捜査を実質的に指揮していたのは、最高検刑事部長の落合氏だったとされる。

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